ウェルカム・トゥ・リベリオン「…うわ」
午前巡回の帰りに郵便受けを覗いたロロは、投函されていた一通の封筒を見てあからさまに顔を顰めた。
「やっと帰られたんですか?」
その瞬間を見計らったかのように背後から声が掛かる。驚いたロロは反射的にその主を捕縛しようと黒髪を擡げたが、振り向きざまに視界が捉えた人畜無害そうな人影を認識してそれを霧散させた。
「お前…確か、あの横に居た…」
…見覚えはあるが、名前が思い出せない。確かあの夜会でトウヤの後ろに控えていた男だ。容姿にこれと言った特徴は無く、何処にでも居そうな…という形容が似合う。
「ニコです。ニコ・ライラ。そういえば俺はまだ名乗ってなかったような…まあいいか」
男…ニコはフラットな調子で名を述べる。掴み所の無い、乱暴に言えば地味で印象が薄いニコの言動にどう反応すべきかロロが困惑していると、ニコは満面に不満を湛えた呆れ顔になる。
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