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    この作品には激しい捏造とふんだんな死ネタとちょっとポエムが含まれます。お気をつけください。Twitterに部数アンケート有りますので、よろしくお願いします。

    【11/7 ジョウ受け新刊サンプル】今日もこの世界のどこかで不死鳥のジョウが死んでいる区立DO根性北学園の音楽室兼スタジオには、週に数回DOKONJOFINGERの面々がバンド練習のために集まる。日時は前もって決まってはいるが、開始すぐにメンバーが揃っている事はあまりない。
    初めにヤスがきて、時間になっても来なかったらハッチンに電話をかける。そうこうしているうちに双循がきて、そして前もって遅れる連絡を寄越していたジョウが到着する。それが日常。最終的に全員揃えばスタジオ練の開始だ。
    響く歌声、鋭いギターの音、唸るベース、そして強いドラム。まだ荒削りな音だが、それでも、この時間が皆それなりに好きで、思い入れがあった。
    今日はジョウが来なかった。
    遅れるかもしれないと連絡が来ていた。
    ジョウの体調が回復しないのはままあることで、バンドメンバーの誰もが慣れているから特になんとも思わない。
    ヤスは帰り際、ジョウに体調を気遣うメールを送ってみた。
    次の日の朝まで、既読はつかなかった。





    ハッチン


    とある土曜日、ハッチンは1人でShibuvalleyに来ていた。今日は特にバンド練習も無いし、誰と約束しているわけでもない。ハッチンはウィンドウショッピングを楽しんでいた。Undernothzawaにはない服もたくさんある。新しい服に出会える喜びを楽しみにしていた。
    最近は楽しみがもう一つある。不意に目に入ってしまうのだ。
    あっこれはヤスに似合いそう。双循こんなの着ないかな。ジョウの長い足に映えそうだ…。
    次のライブの衣装にどうだろうとか、それぞれの楽器との相性とか、バンドとは関係ないプライベートの日でもバンドのことを考えてしまう。それが少しくすぐったい気持ちになって頭をブンブン振った。
    「ちょっと、楽しいから、ま、仕方ねーか」
    なんて。
    Shibuvalleyの一角。大通りからは若干外れた道にある服屋に立ち寄った。
    ショウウィンドウのマネキンが着ているVネックのカットソーとチョーカーが目に止まった。ふと頭の端にこれを身につけたジョウが浮かぶ。うん、きっとめちゃくちゃ似合う。
    店内にはハッチンが好む、パンクに近い洋服が多かったが、その中でも、普段のハッチンがあまり着ない、タイトなデザインのものも多い店だ。こう言った服を見るといつもジョウを思い出す。ジョウは細身なのもあってか、タイトな服を好んで着ている。あんま窮屈な服着てて大丈夫かよ、体調とか考慮したらもうちょい楽な服のほうがいいんじゃねぇ?と聞いたこともあった。ジョウはその時なんて言ったんだっけ。

    「あれ、ハッチンじゃねえか。偶然だな」
    「ファッ!ジョウ!?」
    服屋の外に出ると、偶然その前を通りかかったらしいジョウに声をかけられる。
    今日のジョウは白い服だった。いつもの赤いジャケットは着ていない。白い薄手のセーターに黒の細身のパンツはジョウのスタイルによく似合っている。モノトーンコーデだが赤いメッシュと赤い靴が差し色となっていて、シンプルすぎないコーディネートだ。
    「ジョウ、こんなところでどうしたんだよ」
    「少し遠くの病院に用があったからその帰りだ。寄り道しようと思ってな。ハッチンは?」
    「なんかいい服ねえかなぁって」
    「はは、ハッチンはオシャレだからな。そうだ、ハッチン」
    せっかくだし、飯食いに行かねぇ?
    願ってもない誘いだった。

    2人で道路沿いに面した広めのテラス席がある店に入った。
    ジョウと一緒に飯なんて滅多にないことだ。ハッチンはちょっと浮足立っていた。滅多にないことに対する緊張なのか、心なし口数も少なくなる。
    この店は男2人で入るにはちょっと小洒落ていたが、メニューは意外にも男ざかりでボリュームもありそうだ。
    「好きなの頼んでいいぜ。奢ってやるよ」
    「ファ!マジ!?」
    「おう」
    先払いの店だったので、遠慮せず好きなものを選んでレジに向かった。ハニートーストとローストビーフサラダ。煌びやかな品目だが、どちらとも男子高校生らしい分量だ。
    決まったか?と近寄ってくるジョウの手にはミネストローネがあった。
    「それだけかよ」
    「食事制限あけたばっかだからな。あんま重いもん食えねえんだ」
    ジョウが2人分の会計を済ますと、テラスの席を選んで座った。
    天気が良くて、暑すぎない、いい天気だ。
    「秋になるなぁ」
    ジョウがぼやいた。あまりにも感傷的にいうもんだから、そんな感傷に浸るような事あったかな、とこれまでの記憶を辿ってみる。学校が統合してからというもの、時の流れはあっという間で、今まで秒速で駆け抜けてきたと思う。夏休みすらあったかどうか怪しいほど、忙しく、しかし去年よりずっと充実した日々を過ごしてきた。
    ジョウはどうだろう。
    ハッチンよりも5歳は年上だ。
    歳をとると、時の流れは今よりも早く感じるというけど、ジョウはどうだったかな。
    「秋はえーよな。もう衣替えの時期だぜ」
    「ハハ、ほんとだ」
    他愛のない会話をしながら、ミネストローネをつつくジョウを見ていた。
    赤いものがジョウの口に入っていくのはなんか新鮮な気がして、いや、食事中だぞと首を振った。
    「なあハッチン」
    「あ?」
    ハニートーストに齧り付く瞬間に声をかけるもんだから、中途半端に口を開けたまま固まってしまった。ミネストローネを食べ終えたジョウがこっちを見て笑ってる。
    「オレは今が人生で一番楽しいよ」
    「ん、なの。そのうちもっと楽しくなるだろ」
    「確かに。そうかもな」

    Undernothzawaには2人で帰ってきた。
    電車の中だって2人でいるという経験はあんまりない。
    ジョウは通院で忙しい身だから、バンド終わりとかもすんなり帰ってしまうことが多い。なんだかんだでついて来たりしてつるんでくる双循の方がいっそ付き合いがいいと言える。自分は結局幼馴染のヤスと出かけたりすることの方が多い。逆にヤスはジョウと一緒にいることが多いかもしれない。そういや完全に休みの日に誘ったことはあんまなかったな。オレも今度一緒に出掛けようって言ってみようかな。

    駅から2人で歩き出す。5時頃の空は、夕焼けが眩しいほどだ。
    他愛のない話は尽きることはない。ハッチンが一方的に話して、相槌を打つだけのジョウだって別に満更でもなさそうだった。
    車通りの多い交差点に差し掛かる。
    陽の当たりがいい交差点だ。
    今時間帯は帰宅ラッシュなのか交通量が少々多い。
    2人で信号待ちをしながら、話題は次の新曲のコンセプトに移っていく。

    遠くで悲鳴が聞こえた。

    キキーーーーーー!!!!!ドカン!!!ガシャガシャ!!




    突き飛ばされたと思った。

    目を開けたらトラックが見えた。ここは歩道のど真ん中。散らばるガラス片。街角の店に突っ込んだようだ。
    「人が!人が轢かれたぞ!」
    「なんだなんだ」
    「早く救急車!!!」
    「警察をよべ!!」
    「ジョウ?」
    ハッチンは呼びかけた。返事はない。
    「ジョーーーーーーー!どこだ!!!!」
    返事はない。
    まさかとは思いつつ、ガラス片の散らばるほう、トラックの前方へ行こうとするが通行人に阻まれる。
    「君、危ないよ」
    「友達が、友達がいないんだ。さっきまで隣にいたのに」
    「落ち着いて、救急車が来るから」
    「だって、だって」
    幾多のサイレンが聴こえる。
    現場撤去の様子を呆然と眺めていた。
    トラックから運転手と、店の中から何人か、担架に乗せられて運び出される。

    その中に赤と白の髪もあった。白い布で顔が見えなかった。
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    AmA°

    DONEインターンから帰ったフロイドを待っていた一通の手紙。

    そして付き合ってたフロジェイが結婚する話。
    さがさないでください探さないでください。

    一年ほどのインターンを終えたフロイドは、軽い足取りでオクタヴィネル寮の自室へと向かっていた。
    ジェイドの顔が早く見たい。触れ合いたい。渡したいものも、見せたいものも、食べさせたいものもたくさんある。
    4年次のインターンはそれぞれ別のところで技術を学び、卒業したら起業する。そう言ったアズールは、当然お前たちもついてくるだろう、と自信に満ち溢れた表情だったと記憶している。フロイドも、ジェイドも当然のように頷いた。フロイドは料理を極めるため、ジェイドは秘書としての能力を身につけるため、アズールは経営とマーケティングの勉強のため、それぞれ、一年後の再会を誓った。フロイドとして想定外だったのは、ジェイドのインターン先がずっと遠くの国だったことだ。アズールは隣国にいたので頻繁に遊びに行けもしたが、ジェイドのところは国の事情もあって簡単に行き来できる場所ではなかった。それに金だってかかる。アズールには起業資金のために無駄遣いはするな、と釘を刺されていた。双子はアズールが起業したら絶対に面白いから、という理由でその投資も快諾して月にいくらかアズールの通帳に入れている。それを差し引いても決して不自由ない給料だったが、フロイドにはどうしても欲しいものがあって、その貯金もあって、ついぞジェイドの元に行けるまでの資金が貯まることはなかった。
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