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    Syumi__Suina

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    Syumi__Suina

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    昨日雪がどさーっと降ったから書きたくなったやつ
    間接的な告白的なの書きたかったから幸せ

    #ドラクエ

    #ドラクエ
    dragonQuest
    #DQ
    #盗勇

    盗勇!「寒いな…」
    曇天の下、白い息と共にアレルがぼそりと呟く。
    ロマリアで国王にされた時聞いた、『ノアニール』という村。そこを目指し、アレルとクレイは大陸を北上していた。
    「そりゃお前、そんな薄着だったら寒いに決まってるだろ」
    アレルの格好を見て、クレイが冷静にツッコミを入れる。
    「しょうがないだろ、ここまで北に来るなんて思ってもいなかったんだよ。そういうクレイは寒くないの?」
    不満げに眉間にしわを寄せ、アレルは言う。彼の防寒具と言えば、薄い生地のマントだけだ。
    対してクレイは、防寒具らしきものは一枚もつけていない。せいぜい、アレルの服より少し分厚い程度だ。
    「俺はこっちの方出身だからな。寒いのには慣れてんだよ」
    「ふぅん…」
    マントを精一杯体に巻き付けながら、アレルが曖昧に頷く。
    「ここまで来るってわかってりゃ、防寒具でも持ってきたんだけどな。まさか、このあたりまで来る羽目になるとは」
    半ば独り言のような声でクレイが言う。そう言いつつも、彼は自分の荷物袋を漁る。出てきたのは、せいぜいスカーフ程度だ。
    気休めにもならねえな。そう思って、クレイはいそいそと荷物袋にそれを入れ直した。
    「それにしても寒すぎるよな…」
    そう言って、アレルはその場に立ち止まり、近くの木の根に座り込んだ。
    マントを広げ、彼の隣の地面をぽんぽんと手でたたいた。
    「…何がしたいんだ?」
    首を少し傾げ、クレイはアレルに聞く。
    ふいっと目をそらし、アレルはつっけんどんな口調で言った。
    「察せよ」
    その耳が寒さ以外のもので赤くなっているのを、クレイは目ざとく見つけた。
    「確かに、寒いな」
    少しわざとらしい口調で誰へということもなく呟くと、彼はアレルのマントにすっぽり収まった。そして、木に体重を預けた。
    隣からの熱を感じながら、彼らはゆっくりと空を見上げた。

    不意に、一片の雪がひらひらと舞い落ちる。
    それを合図にしたように、次々と白い雪が空から舞い落ちる。
    「雪だ」
    ため息交じりに、アレルが呟く。顔に、うっすらと微笑が浮かぶ。
    「久しぶりに見たな」
    目を細め、クレイが雪に向かって手を伸ばす。ふわりと舞い降りた雪は、彼の手の上ではらりと溶ける。「本物は、初めて見たかもしれないな」
    「アリアハンには雪降らないのか?」
    「僕が覚えてる限りだと、降ったことはないな」
    そう言いながら、アレルも雪に向かって手を伸ばす。ふわりと舞い落ちた雪の冷たさに、驚いて手を引っ込める。
    「こんなに冷たいのか」
    「そこまで驚くほどか?」
    面白そうに、クレイが聞く。そして、両手をアレルの頬に当てた。
    「冷たっ!」
    「ははっ、びっくりしたろ?」
    彼は心底楽しそうに笑う。対して、アレルは困ったようにため息をついた。
    「全く。君は子供か? クレイ」
    「お前よりは年上だぜ、勇者様」
    ニヤッと笑うと、クレイは再び、雪に見入った。
    優しく吹いてきた一陣の風が、彼の白い髪をふわりと揺らす。
    その横顔が、今にも溶け行きそうなほどに儚く映り、思わずアレルは呟いた。
    「クレイって、雪の精みたいだ」
    「はぁ!?」
    素っ頓狂な声をあげて、クレイがアレルを勢いよく見た。彼がこちらの世界に戻ってきたように感じ、アレルは人知れず安堵する。
    「だって、ほら。この白くてふわふわの髪とか、冷たい手とか、白くてきめの細かい肌とか。すごく綺麗で儚くて、幻想的で」
    言いながら、彼はクレイの髪に指を通す。短く切られた髪は、軽い感触を残してふわりと流れた。
    「そんなこと、言われたことなかったな」
    目を軽く逸らし、小さな声でクレイが言う。うっすらと、その白い肌が赤く染まる。
    愛おしそうに、アレルは優しくその肌を撫でる。その冷たさに、少し不安にもなる。
    いつか本当に、雪のようにはらりと消えてしまうのではないかと。

    「もし俺が雪なら、アレルはきっと、太陽だな」
    唐突に、クレイが言った。
    「なんで?」
    その問いには答えず、クレイは空に向かって手を伸ばす。
    「知ってるか? 雪が降るのは、太陽のおかげなんだぜ」
    意味を理解しかねて、アレルは首を傾げる。
    「太陽は、雪を溶かすんじゃないの?」
    「そうだ。溶けた雪は何になる?」
    「水、だけど」
    困惑しながらも答える。その答えに、クレイは満足げに頷いた。
    「その水は、太陽によって空に昇って雲になる。その雲が、雨や、雪を降らせるんだよ」
    「…小さい頃習ったような気がするけど。それが、どうしたんだ?」
    今更そんな知識を持ち出して、何がしたいのだろう。意図をはかりかね、アレルはクレイに聞いた。
    「なんだよ、みなまで言わせんのか? 無粋ってやつだぜ、勇者様?」
    少し不機嫌そうに、クレイが口を尖らせる。
    「そうは言っても、わかんないものはわかんないんだよ」
    「…言い方が回りくどかったな…」
    伸ばしていた手をパタンと下ろして、クレイはアレルの方を見た。

    「太陽がある限り、雪が無くなることはない。
    雪があるのは、太陽があるからこそだ。
    つまり、そういうことだよ」

    それだけ言うと、クレイは立ち上がって、アレルの手を取った。
    ぐいっと引っ張り起こすと、彼はアレルの手の甲にキスをした。
    驚いて言葉も出ないアレルに向かい、上目遣いで薄く笑うと、クレイは踵を返して北を向いた。
    「ノアニールはそろそろだろうな。雪が積もる前に行こうぜ、勇者様?」
    うっすらと白くなった地面を踏みしめ、クレイはさっさと先に行ってしまう。それを追うように、アレルも北へと歩みを進める。

    薄い雲が、太陽の光を柔らかく地上へと降らせる。
    その光を反射して、純白の雪が、キラキラと光った。
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