めぐる「おい、なんだこりゃ」
デスクに目を落とし、ただでさえ苦そうな色の顔を更に苦くして、エクボが霊幻に言った。
「金運上昇だぁ? しかもなに目立たねえとこに貼ってんだ。二重にセコいぞ」
「うるせーな。今月カツカツなんだよ」
「あの、霊幻さん。俺の給料もう少し先でもいいですから」
「いや流石にそれは大丈夫だから! 気にすんな」
そんな風に、茂夫が期末テストを終えて久しぶりに相談所に訪れると、なんとも不安になる会話が繰り広げられていた。
モブは霊幻の座っているデスクに近寄り、覗き込む。たしかに客からは見えないところに、力強い毛筆で金運上昇と書かれた札が貼ってあった。よく知らないけれど、こういうのは風水とかも考えて貼らないといけないんじゃなかったか。
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