頭上でチチッと鳥の声がした。まだ下手くそな鳴き方だったからこのあたりに巣があるのかもしれない。
空を見上げると雲がゆったりと流れていく。
ああ、あの雲はこの間見た悪魔の目玉に似ているな。
あちらはスライムによく似ている。
分かれ道の脇にある大きめの岩に腰掛けて、ぼんやりと雲を眺める。他にすることがないからだ。
微かに聞こえる話し声はまだまだ終わりそうにない。
そっとため息をこぼすと足元に何か触れた。
視線を下に向ければつぶらな瞳と眼が合う。
口元を緩めて手を伸ばすと頭を擦り付けて甘えてきた。
精一杯背伸びして膝に足を突っ張っていたので、抱き上げてやればグルグルと喉を鳴らす。
柔なか毛並みを堪能しているとピンと怒気が張り積めた。手のひらに感じる毛が逆立っている。
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