冨岡が隊士を庇ってけったいな血気術にかかったせいで猫化したとか宇髄が言うから、最初は冗談だと思って「ふざけんなよ」と笑い飛ばした。
「ほんとだぜ」と宇髄は真顔で言った後に、「嘘だと思うなら見に行ってみろよ」とニヤリと笑う。いずれにしても厄介な事に巻き込まれやがって、と舌打ちをした。戦力が一人足りねェだけで任務に影響するってのに。
俺がその後に蝶屋敷に行ったのは薬を貰いに行く用事があったからで、断じて冨岡の姿に興味が湧いたからではない。
「あ、不死川さん丁度いい所に」
蝶屋敷の玄関を上がった途端、胡蝶が診察室から顔を出して手招きしている。「何だ」俺がそこに向かうと、診察室にある寝台の上に冨岡が座っていた。見たところ普段と全く変わらない姿に、なぜかどこかガッカリした自分に混乱する。
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