Automatos agape prologue
——早いもので、類と出会ってからもう五年が経った。
目覚まし時計の音に起こされ、寝ぼけ眼で画面に表示されているデジタル表記の日付けを見て、ふとそんなことを思い出した。
遮光カーテンに覆われた窓の向こうでは、穏やかな秋晴れの青空にいわし雲が気持ち良さそうに泳いでいる、そんな爽やかな朝だった。朝特有の肌寒さは感じるものの、パジャマの上からカーディガンを一枚羽織れば気にならない。
今日は日曜で大学の授業もバイトもない。演劇部の練習も休みだ。せっかくなので、今日は類と今まで過ごした日々を思い返すことにしよう。
伸びをしながらベッドの上で起き上がる。ぱきり、と固まった関節が悲鳴を上げ、最近ストレッチをサボり気味だったと思い出す。
19918