Starry Sky 良く晴れて、星が月のように明るい夜を星月夜というらしい。
まさに今日がそんな日で、窓の外を見れば月が出ていないのに無数の星たちが明るく空で輝いていたーーらしい。
「――で、オレに電話してきたってわけ?」
『はい、黄瀬君にもぜひ見て欲しくて』
電話口の黒子っちは、珍しく弾むような声で星空がどうとか言ってきて、オレは思わず窓の外を見上げた。
イタリア、ローマの現在時刻は十四時半を少し過ぎて、空は雲一つない快晴。星空なんてまだまだ遥か遠かった。
「じゃあ今夜見ておくね」
『今夜? 今は――あっ』
「分かった?」
『時差……』
黒子っちは漸く理解したのか、絶句した後、落ち込んだ声が聞こえてきて、オレは思わず吹き出してしまった。
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