それでも劇は続く「ずっと羨ましかったんだ」
「平和で楽しい子ども時代を持つ人間が、そうやって育った結果持ちうる他人を信じる心が、ずっと」
羨ましくて、眩しくて。素敵だと思った。フォンテーヌ、いや、テイワットの子供達が全員そのように成長してほしいと願っていた。
「だって、それは絶対に自分が持てないものだから」
幼少期に信じていたものは全てまやかしだった。だから、絶対に信じられる根拠をこの目で確認するまで、用心深くいなければいけない。
だから純粋に羨ましく思っていた。"それ"は、大変輝かしくて、好ましい。だから——自分は近づいてはいけない。
「でも、そんな俺でも、絶対に信じられるものがあったよ」
普段より特段柔らかな口調で、リオセスリはその名前を口にする。
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