ニア エンドロール「ルチル、教えてほしいことがあるんですけど」
そう賢者様が言ったのは、ちょうどお昼も過ぎて午後の授業が終わったあと。ゆっくり1人で木陰で本を読んでいるとき。
この世界のことのことを賢者様はよく知りたがった。自分の元いた世界に持ち帰ることは出来なことを知っているのに、この世界に少しでも馴染ませるようにと。それは願いにも似たものだった。
私たちと同じ世界で生きていたいという願い。
「はい、なんでも」
「手紙を書こうと思ったんです。それで、俺がわからない文字とか間違いがあれば教えてほしくて」
私が快く許したことに安心した顔で、隣へ座る。
「それはいいですね、誰かに出すんですか?」
手紙とは、誰かに渡すものだ。そうして心をどこかに置いておく。
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