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    あんぶれら☂️

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    あんぶれら☂️

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    グレビリ。初DW参加(@ Grabilly_dw様)
    お題: 大事な人、雑誌
    次のお出かけの計画を立てる話。

    #グレビリ
    greebilli
    ##グレビリ

    きみはぼくの、“大事な人と一緒に行きたいBEST SPOT”
    ビリーくんが見ている雑誌の表紙には、賑やかな色でそんなキャッチコピーが踊っている。
    その横顔はいつになく真剣で、ただ流し見という感じではなく、実際に誰かと行くことを考えているように思えた。
    ゴーグルを上にずらし、綺麗な青い瞳を釘付けにして、時折ひとり頷く。
    彼にこんなに熱心に考えてもらえる幸運な相手は、誰なんだろう。
    少しだけ、いや、かなり羨ましい。
    「ねーねー、グレイ。ちょっとコレ見て」
    「!う、うん」
    「コレとコレならどっちがいい?」
    「…えっと」
    どんな人なのか、とか、どこで知り合ったのか、とか。
    意見を言うついでに相手について聞けるところなのだが、聞きたくないと思ってしまう。
    ビリーくんが僕の知らない人と特別な時間を過ごすことを想像したくない、なんて。
    単なる友達にしては踏み込み過ぎだろう。
    「グレイって絶叫系いけるっけ?」
    「うん、どちらかというと好きかな」
    「俺っちも大好き!それなら、もしよければこっちにしない?」
    「いいね、楽しそう」
    ワーイ、決まり、と喜ぶビリーくんを見ながら、何かおかしいなと首を傾げる。
    これじゃまるで自分も一緒に行くみたいだ。
    「…あの、ビリーくん、大事な人と行くんだよね…?」
    「ん?」
    「それなら、僕は一緒に行けない…よね?あの、邪魔になると思うし…」
    「んん???」
    あれ?僕、何か変なこと言ったかな?
    何故かビリーくんも首を傾げている。
    暫しの沈黙の後、雑誌の表紙を見て、ああ、と納得したような声が上がった。
    「俺の大事な人はグレイなんだケド」
    「ふえ!?」
    「あれ?ていうか、今度の休みに遊びに行くところ決めよって初めに声かけたよネ?」
    「え、そうだっけ…?」
    「あー!グレイ、聞いてなかったんだ、ゲームしながらだったもんネ~」
    「…う……ご、ごめんなさい…」
    頬を膨らませたビリーくんは怖いというより可愛いけど、そんなことを言うと本当に怒られそうなので黙っておく。
    それよりも。そっか。大事な人って、僕のことだったんだ。
    にやける口元が抑えられない。
    ルームメイトで、チームメイトで、初めての友達で、大事な人。
    今は少し不満げにこちらを見るビリーくんが、いつも以上にきらきらして見える。
    「…本当にごめんね。僕にとってもビリーくんは大事な人だからどこでも嬉しいんだけど、一緒に絶叫系乗りに行きたいです」
    「ホントに~?ゲームよりも俺っちが大事?」
    「も、もちろんだよ!!」
    勢い余ってゲーム機を放り出し、代わりにビリーくんの両手を握ると、漸く笑顔になってくれた。
    「もう、しょうがないなー許してあげるヨ」
    「あ、ありがとう…!」
    「そしたら改めて、絶叫系制覇ツアーの計画立てよっか」
    「…うん!」
    二人で覗き込んだページには、沢山の乗り物が紹介されている。
    ふと、選ばなかった方の紹介ページにも目が行って、良く見ればムード満点のデートスポットのようだった。
    いつかそっちにも二人で行けたらいいな、とこっそり心の中にメモを取っておいた。

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     一歩違えば落下死に直面するというのに、グレイは自分の全権を、全幅の信頼を、当然と言うかの如く寄せてくる。
     それが、むずがゆくて、あたたかくて、うれしくて、何とも表現しづらいのだが、グレイと出会って初めて覚えたこれが、おそらく『あいしている』という気持ちなのだろう。

    ↑ってビリー・ワイズが言ってました
    山場とか落ちとかは消えた……どこ……
    極東の夜鳥




     消灯時間が過ぎ、日付も越え、辺りがしんと静まる、そんな深い夜。

     ふと、就寝中のグレイは眩しさを感じ、閉じていた目蓋をゆっくりと押し上げる。

    「…………っ」

     開けたばかりの目を、思わず力を入れてもう一度閉じ、眉間にしわが寄った。
     まぶしい、周囲は真っ暗だというのに、

     何故か、まぶしい。

     オプシンを生成して明順応をすればいいのか、ロドプシンを生成して暗順応をすべきなのか。
     まるで両目の機能が混乱しているかのようだ。
     しかしそのまぶしさの中に、ひときわ強く輝くなにかが見えた気がして、グレイは目が光に痛むのを堪えて今一度、目蓋を上げた。




     ────月だ。




     向かい側に位置する太陽の光を反射した、その丸い天体が、地球へと光を注いでいる。

     満月によるものか、過ぎた月明かりは周囲に存在しているはずのいくつもの星々を掻き消し、貴様らの出る幕はないとばかりに夜空を明るく照らしていた。
     建物の陰影がくっきりと伸びる様は昼間の光と混同してしまいそうになる。
     グレイは上体を起こし、布団から出て窓の方へと歩を進め、そっとカーテンの隙間を閉じ… 5660