もしかしたら、誰でも良かったのかもしれない。
ドクターはブロックパズルのピースを、照明にかざして形を確認した。寝室でひとり、言い訳大会を開催する。
『シルバーアッシュが何故こんなにも自分へ愛情を寄越すのか』
議題はいつもと同じ。
ぽつぽつ、心のなかで疑心が重なる。
首尾良くシルバーアッシュの策略を曝いたから?
妹のクリフハートがロドスでオペレーターをしていたから?
(…きっとそう、これは彼の気まぐれなのかも)
だからいつかはこの付き合いも終わりを迎える。
シルバーアッシュが飽きるのが先か、それともドクター自身が死ぬのか。
死ぬまえに別れを告げる自分の姿が思い描けないのは、惚れた弱みとはいえ情けない。
そこまで考えているのも、格好悪いから絶対に墓場まで持っていこうと思っている。
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