Room205 後輩ばかり、という気安さもあるのだろう。この部屋にはやたらと来客が多い。切原、財前、日吉、そして俺、海堂薫。俺たち205号室の四人は、いまや廊下を歩く足音だけで誰が来たのか判別できるほどになっていた。
スタタタタッ、廊下のカーペットを軽やかに駆ける足音。忍者みてぇ、と切原が言うと、足音立てる忍者があるか、足軽だろうと日吉がツッコむ。足軽の正体は四天宝寺の忍足謙也さん。ていうか廊下を走るなちょっとは落ち着け先輩だろうが、と俺は口には出さないがいつも思う。
「財前~!!!!おるか~~~~⁉」
ドンドンドドドンッ!軽快な足音とは裏腹にノックはガサツの極み。返事も待たずにバァンッ!とドアを開ける。喧しい……。財前は二段ベッドの上段に寝転んで、スマホから顔も上げずに「おらんみたいですわ。出直した方がええですよ」と応えた。
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