久しぶりの休日に、浮奇とファルガーは太陽が真上にある時間に起きた。
いつもならば浮奇が早めに起き、2人分のご飯を作っている時にファルガーが眠い目を擦りながらベッドルームから出てくる。
しかし今日は浮奇からの提案で、お昼まで寝てそこから2〜3時間くらいお出かけがしたいとの事だ。
流石に昼過ぎから出掛けるのは...と思ったが、ファルガーは自分でも自覚するぐらい浮奇に甘いため、ちょっとした無理無茶でも容易に受け入れてしまう。それがどんな事でも。
ファルガーは少しゆっくりとしたペースで身支度を整えていた。
ファルガーは朝に弱いため、目を覚ましている間に浮奇に服を選んでもらい、髪をセットして家を出る。
最初は申し訳ないから自分でやる。と浮奇に伝えたが、浮奇が自分の手で俺好みのふーふーちゃんを仕立てることが出来るから俺にやらせてと言ったため、もう好きにセットをさせている。
遅めの朝食をとり、快晴の中ファルガーの服と新刊を買いに行くためショッピングへ出かけた。
「ふーふーちゃん忘れ物ない大丈夫?」
「大丈夫だ。しかしまあこんな時間に外出するのはちょっと変な感じするな」
「普段こんな時間に家から出ないもんね。だけどそれも楽しんでお出かけしよ」
お揃いの靴を履き、ドアの戸締りをして駅へ向かった。
30分ほど電車に揺られ、他愛のない話しをしながらゲーセンやアクセサリー屋などに寄り道をしたりして、やっと1つ目の目的地に着いた。
目的の本はクールな黒髪人外×やんちゃ生意気人間の商業BLだ。この先生の絵のタッチやストーリー展開、エッチの描写、喘ぎ方など全てが理想道理の最高な作品だ。特にキャラクターの受け・攻めの性格が毎作品ファルガーの好みドストレートで、恋人の浮奇はもちろん、配信でも熱く語り布教活動をしていた。
そんなファルガーの布教はよくあり、そのおかげで浮奇はファルガーの好きなシチュエーションやキャラクターなどの傾向が読めてきたので、ネットサーフィンをして見つけた物をファルガーに教えたりしている。
入口から一直線にBLコーナーへ向い、目的の本を手に取った。一応女性だらけの場所にガタイのいい男が入っていくので変な視線を多々浴びるのでそそくさと逃げるようにそのコーナーから出て会計をした。
「相変わらずあそこに入って行くのには慣れないな...」
「確かにふーふーちゃん男の人だから仕方ないよ。しかもこんなカッコイイ人が来たらみんな見ちゃうからね」
「...そんなこと思ってるの浮奇だけだぞ」
「そんなことないよ。ふーふーちゃんはとーっても魅力的だよ」
そう言い、繋いでいた手を更に強く握りしめ、歩きだした。
そして2つ目の目的地である服屋に着いた。さっき寄った本屋からそんなに遠くなく、尚且つ価格が全体的に低いのでよく浮奇が利用している。
しかもそこはシンプル系な服が多く、ファルガーに似合う物ばかりだ。
「ねえふーふーちゃんこっちは?これはどっちがいい」
「浮奇、一旦落ち着け。分かったから一着ずつな」
「俺が満足するまで付き合ってね!!」
そうして1時間以上ファルガーは浮奇の着せ替え人形になっていた。
結局買ったものは、真っ黒な薄手のアウターと背中にプリントされている白T、ふたつ穴のベルトなど色々なものを手提げ袋2つ分購入し、浮奇とファルガーがひとつずつ持って店を出た。
「ふーふーちゃんの洋服いっぱい買っちゃったね」
「そうだな、これで当分服を買わなくていいな」
「えー色んな洋服来てるふーふーちゃん見たいからこれからも買い物行くよ!」
「OMG」
「んふふっ、ねえふーふーちゃん今4時過ぎ位だけどどうする?帰る」
「早く買った本が読みたいから、もう帰ろう」
「了解!じゃ、早く帰ろうね」
お互い顔をはにかませて、浮奇とファルガーは2人の家へ帰るために駅へ向かった。