完全に油断していた。横からシュウが飛び込んできて、オレは持っていたグラスだけ間一髪で隣に座っていたミスタに手渡し、シュウにそのまま押し倒された。
目が据わっているシュウは、じっとオレの顔を見つめる。ていうかキミ、珍しく泥酔してさっきまでカーペットのところで寝てたよね?いつのまに起きたんだろう。
「るぅかぁ」
「ん?」
「るかだ〜」
酔っ払い故の舌ったらずな話し方は、正直可愛い。ふにゃっと笑ったシュウは、オレのお腹の上に座る。ニコニコしながらオレの腹筋を撫でて、ご満悦だ。
けれどここで問題が一つ。二人っきりなら、可愛いねシュウ、んーまっ!て、キスの一つや二つしてあげたいところだけど、オレたちはいま、ヴォックス、アイク、ミスタの三人(酔っている)に見守られているのだ。シュウのメンツのためにも、下手なことはできなくて、オレの中に緊張が走る。
2023