村の長となった零は誰か娶るよう長老どもから再三言われているのをのらりくらりと躱していた。
長寿なために結婚を強要はされないが、年月と共にやや煩くなってきた頃、村に一匹の子狐・梓が誕生した。
まだ赤子ながら一目で気に入った零は梓を婚約者として発表し、村長の妻を約束された梓は周りに愛されすくすくと成長した。
だが数年後、零は気になる事案があると言って長自ら人間界に行ってしまった。
たまに帰ってきているようだが、すぐ人間界へとんぼ帰りしてしまうため零に会えない寂しさを募らせたまま梓は成人してしまった。
長寿とはいえ会えない寂しさ、零を案ずる気持ちから梓も人間界へ行くことを決意。村長代理の景光にきつく止められたが振り切って人間界へ。
うっすらと零の匂いが漂う米花町に根城を決め、人間を装うためポアロという喫茶店で働き始めた。
休みの合間に零を探すが難航して見つからない。
その間妖狐であることを疑われることもなく、すっかりポアロの看板娘になった数年後、ポアロに新しくアルバイトがやってきた。
それは安室透という『人間』で────!?