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    シュウと付き合ってるアイク×ヴォックスと付き合ってるミスタ
    利害一致、共存共栄の二人 書いてる途中進捗
    (読む人選ぶ内容すぎる〜〜)

    初めてアイクに誘われたとき言われた言葉を、オレは今でもよく覚えている。

    「──んで、ルカにその事伝えたらさあ!流石にそれはUNPOGだねって言われちゃって!」
    「ハハ、だろうね!僕に聞かれてもきっとそう答えるよ」

    あの日はオレもアイクも程よく酔っ払ってて、ひとしきりバカみたいな話題でゲラゲラ笑った後だった。
    照明が瞳を暖色に変える。唇はプラムみたいにみずみずしい桃色で、何だかいい女と洒落こんでるような気分にさえなってくる。喧騒の中、アイクは何でもないような声で問い掛けた。

    「……ね、ヴォックスとはどう?」

    からん。薄まっていくハイボールの水面が揺れる。オレはいや分かんでしょと半笑いで答えた。

    「まあね、そりゃ、いつも通りだよ」

    つまみのナッツを手に取り、口へと放り込む。塩気が美味い。心配ご無用、ひらひらと手を振ってついでにと次の一杯をオーダーする。

    「デートらしいデートもしてるようでしてないし、なんつか」
    「ほぼ友達みたい?」
    「そう!これまで通りね。ダチって感じ」

    オレは恋人扱いをするだとかされるだとかが苦手だった。相手の日常を侵害するようで気が引けたし、自分の一部を誰かに埋められるのは違和感があった。けどアイツは出会ってからずっとくだらない悪友でいてくれたし、何も変わらない楽しくあったかい関係でいてくれて。そんで、うっかり一線を越えちゃったから一応そういうコトにしとく?みたいなノリでダーリン(笑)を豪語してくれている。

    まー、オレとしては十分満足なんだけど、強いていうなら……

    「あのさ、ミスタ。一つ頼みたいんだけど」

    ふとこちらを向いたアイクが首を傾ける。Come, come. 手招きした口元へ顔を近付けると、いつもと同じ語り口で彼はこう告げた。

    「君にさせて欲しいんだよ。かなりハードなやつ」

    えー、っと。まばたきを二回。三回。顔を上げるとにっこり微笑む相手と視線がかち合う。

    「分かるでしょう、僕は相当ヤバいのが好きなの。シュウにはとても出来ない」

    この物書きが只者ではないこと、そのうえ分別がついているだけに好印象がつきまとい、本性が有耶無耶になっていることはずっと前からよく知っていた。しっかり者で誠実な人柄は紛れもない本物で、けれど取捨選択された中に決してお利口とは呼べない顔が紛れているのもまた真実で。諦め半ば、見逃しきれずに指摘することもしばしばあった。

    「へェ……急にぶっ込んでくるね、突然どうしたワケ?」
    「今に始まった話じゃないよ。それはミスタもよく分かってるんじゃないかな」

    アイクはシュウと付き合ってる。で、酷いこと出来ねーからオレにやりたい。合ってる?合ってるよ。だから君に頼みたくて。相手はオレが飲み込む間もなくそう、悪びれずに次の言葉を続ける。

    「シュウは?怒んねーの?」
    「ちゃんと相談した。確かに付き合うには少し厳しいし、それでストレスが溜まるなら店に行っても良いと言ってくれたんだ」
    「流石、しっかりしてるなあ……」

    グラスの縁から冷えた雫が流れ落ちた。挙動を確認してみたけれど、これといって嘘を言っているような気はしなかった。実際シュウは自他ともに認める現実主義者だし、アイクが裏切るような事をするとも思えない。つまりこのイカれた誘いは本気の提案だってこと。けど。けどさ、と繋げようとした先でアイクはオレの手を握った。

    「大丈夫だよ。無茶はしないし、誰にも言わない。無論、君たちの関係も阻害しない。それに」

    ぐわ、り。アイクの瞳が静かに煌めく。

    「悪くない取引の筈だよ。君にだって利点はちゃんとあるんだから」

    深いブルーキュラソー。どこか懐かしく、人の寄り付かない湖畔のような。優しいようでどこまでも狡く、願望を上手に叶えていく者の眼。
    宥めるような手が肩を撫で腕を伝い、腰へと触れる。店内のBGMは遠ざかり、聞こえるのは、加速する鼓動と透明な声だけになっていた。

    「……ッ」

    全部、バレてる。見透かしてやんの。
    オレは降参と再び苦笑をこぼした。あーホント、チャットの奴らも全然見抜けねーしどいつもこいつも盲目だし、オレばっかり。コイツの獰猛さと対峙する。やんなっちゃうよ。
    グラスを手に取り、傾けて。残りのカクテルを一気に飲み干す。じゅわ、じゅわり。アルコールが喉を焼き、懐疑心と共に理性を蒸発させていく。

    シュウ、なあ兄弟。マジで気を付けろよ。お前が付き合ってんのは、お前の可愛い恋人は……誰よりも、執念深くて恐ろしい男だって。ほんと、油断してると手を切られる、綺麗で硬いガラスみたいな。そんなヤツなんだから。

    「“彼”をぎゃふんと言わせちゃおうよ、ミスタ?」

    美しく鋭いトドメの一言に、提案を飲む以外の選択肢は消えてなくなる。
    そう囁く友人は、オレよりずっと英国の探偵らしかった。
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