2人で旅をして、初めて人混みの中で互いを見失った。慣れない大きな街の通りで人にぶつからぬよう、避けたり早足になったりと気をつけているうちに、後ろにいるはずの同行者の姿が見えなくなっていた。
慌てて気配を探るが行き交う人が多すぎる。仕方なく来た道を引き返しながら見知った姿を探す。いた、と思う度に似た背格好の別人で舌を打つ。
マントのフードを被っていなければもっと見つけやすかっただろうが、不用意に目立たぬよう宿が見つかるまではこのままで、という打ち合わせだけ先に済ませてあったのが悔やまれる。とにかく地道に探すしかない、と焦りつつ足を動かす。
それは同行者の方も同じであったようで、どうやら2人とも闇雲に動き回って無駄にすれ違っていたらしい。再び出会うのに小一時間ほども費やし、その後どちらが不注意だったかで少し揉めた。
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