アフターファイブ 昼休みや定時前など、おそらく手持無沙汰な時間を使って社長室にやってきては、ソファでだらけたり窓の外を眺めたりと適当に時間を潰すあたるの姿が面堂の日常となり、一体どれくらい経っただろうか。
まるで息をするように、そうあることが自然の摂理のように、見事なまでに違和感なくそばにいるものだから、始まりがいつだったかなんて忘れてしまった。
あたるの横顔が日常に溶けていくのは、悔しくもありつつどうしてか悪い気はしないので、面堂はそれがあまり腑に落ちない。
あと十分で定時というタイミングでドアノブをひねる音が聞こえたときは、いつものごとく面堂の邪魔をして去っていくものだとばかり思っていた。
「よう」
「また諸星か」
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