希う「マァムはお兄ちゃんが本当に好きなのね」
小さい頃からよく言われていた言葉。
「うん!大しゅき!!」
「そうよ、自慢のお兄ちゃんだもん♪」
そうやって、即返事が出来たのはいつの頃までだったろう?
五歳年上の兄さんは、父さんやアバン先生から戦士としての指導をかなり早くから受けていた…らしい。私がまだ赤ちゃんの頃だったから母さんから聞いた話だけど「太刀筋がとても良い」と二人ともベタ褒めだったそうだ。
物静かで声を荒げたりしない兄からは想像もできなかった。でも先生がネイル村に来た時に修行の様子を見せてくれて。いつもニコニコしている先生が真剣な顔で兄さんの相手をしてて。それで母さんが言ってたことは本当だったんだって分かった。
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