「馬鹿か君は! あぁそうか、馬鹿だったな」
受け取った紙袋の中身を確認した露伴は目を吊り上げて怒ったかと思えば呆れ顔を浮かべている。ころころと表情を変えるその姿は予想通りで、やけそうになる頬を必死に堪えた。
今日は八月二日。学校で『バニーの日』なるものを聞いた俺は学校帰りそのままペンギンがモチーフの某ショップへ寄ってあるもの買い、逸る気持ちを抑えながらその足で露伴の家に直行した。面倒臭そうな顔をしながらも中に入れてくれるのはいつもの事で、買ったばかりの紙袋を手渡すと自分で飲み物を取りに行く。そして、戻ってきた途端にかけられた声がさっきの罵倒だった。
「僕にこれをどうしろと?」
勢いよく紙袋に手を突っ込んだ露伴は乱暴に中の物を取り出しおれに突きつける。掴んだ手からはみ出す、黒く長い大きなそれ。それはウサギ耳のついたカチューシャで、それに似合う衣装も入っている事に露伴は気付いただろうか。
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