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    kanashiki79

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    kanashiki79

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    【番外編】ミルククッキー、幼女とじゃじちゃん。
    ※注意※
    ・寛釘(ひろのば)の娘(ネームあり)とじゃじ。
    ・捏造てんこ盛り。

    #寛のば
    #寛釘

    ミルククッキー 花梨はふかふかのソファーに座り、絵本を開く。
     その隣に座るのは、小さめサイズで丸っこくなった、ジャッジマンだ。
     …座っていると言っていいのかは正直わからないが、恐らく座っているのだろう。

     今この家には、花梨とジャッジマンの二人しかいない。
     両親は揃って、買い物に出かけている。
     いつもは三人揃って出かけるのだが、今日は花梨が留守番をすると、駄々を捏ねたのだ。
     もうすぐ小学生になるとはいえ、まだ未就学児の彼女を諭そうと、日車が膝を折ってしゃがみ込んで目線を合わせる。

    「花梨、一人で留守番は、まだ早いと思う」
    「だいじょうぶだよ、もうすぐかりん、しょーがくせーだもん!」
    「でもな、うん、そうなんだけどな。…野薔薇さん、どう思う」
    「うううううん…。私もまだ、区切りとしてどうかなって」

     苦虫をかみつぶしたような顔を見合わせた二人の背後に、ふわりと影が立った。
     呼ばれなくても出てくるようになった、ジャッジマンだ。
     そちらを見つめた花梨が、わ、と歓声を上げる。

    「じゃじちゃんもいっしょに、おるすばん!」
    「「は?」」

     振り返った彼らの目の前には、小さめサイズのジャッジマンが、ふわりふわりと浮かんでいる。
     式神の顔は優しく、うんうん、と頷いて見せており、任せろと言っているようだ。

     娘達の仲がいいのは、日車達もわかっている。
     何せ、生まれた時から側にいるその存在を花梨は怖がることもなく、共に過ごしているのだ。

     はぁ、と小さなため息をついて、日車が問うた。

    「ジャッジマン」
    「…」
    「俺たちが花梨を君に預けて買い物に行くのは、育児放棄になるんじゃないか」
    「…無罪ノットギルティ

     ジャッジマンの返答に、大人二人はまた、顔を見合わせる。

    「ちょっと、寛さん」
    「待て、うん、ちょっと待ってくれるか」
    「寛さん、ジャッジマン」
    「いや?うん?…聞き間違えた?ジャッジマン?」
    無罪ノットギルティ
    「「言った―――!」」

     …普段からのお約束事を娘と反復し、両親は驚きを隠せないまま買い物のため玄関を出ていき、話は冒頭へと戻る。

     花梨は地頭がよく、既にひらがなを読む。
     そんな彼女は得意げに、絵本の頁をめくる。

    「…そのいえは、ぱんでできていて、やねは、おかしでした」

     そこまで読んだ花梨は、パタン!と絵本を閉じ、キッチンへと向かった。
     彼女が棚から取り出して、後ろを付いてきたジャッジマンに見せたのは、ミルククッキーだ。

     ソファーに戻り、柔らかい甘さをポリポリと齧りながら、ジャッジマンに目を向ける。

    「じゃじちゃん、これたべられる?…そっかあ。いっしょにたべれたら、たのしいのにね」

     式神ゆえに食べることを必要としないジャッジマンの胸の内は、如何ほどだろう。
     白い仮面は、少しだけ和らいだ表情をして、彼女の隣へ座り続ける。

     …日車と野薔薇がリビングを覗き込んだ時、室内は静かだった。
     ソファーの上には、ジャッジマンにもたれかかって眠る花梨と、大人しくじっと動かない黒い式神が、居た。

    「お留守番、出来たね」
    「ん。…ジャッジマン、すまん。今花梨をのける、重いだろう」

     そう声をかけられたジャッジマンは、ふるふると首を横に振って拒否し、夫婦は苦笑した。
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