ミラーリング #11(英雄の結婚編)再会
「上王が死んだ……?」
クー・フーリンは、呆然と幼なじみの言葉を繰り返した。ロイグはうなずく。
「外遊中、ブリテンの賊に襲われたんだ。噂じゃ、身内の仕業って話もあるが……いずれにせよ、上王も側近たちも殺された」
「そんな……」
「次期上王は息子が継ぐことで落ち着くみたいだけど、いかんせんまだ子どもだからな」
ロイグは大きなため息をついた。
「おかげで、今アイルランドは大混乱さ。このアルスター国も、コノート国も、マンスター国もレンスター国も。どの王も、次期上王に忠信を捧げるって言ってるけど、みんな腹の底では何を思っているやら」
「まさか、内乱……」
「いや、そこまではまだ」
ロイグは首を振ったが、その表情は曇っていた。クー・フーリンはおずおずと尋ねる。
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