爆発で朽ち果て、崩れた街のなかで盟友はひとり座り込んでいた。黒く焦げた瓦礫(がれき)の中心部を静かに見つめている。
この生存者のない寂しい街の内部に居たら、なかなか発見できない訳だ。私もテンジンのちからが無ければ、直ぐに見つけられなかったかもしれない。
「盟友」そう声をかけると、俯いていた黒いフードが上向いた。
役目を終えて私のもとに戻ってきたテンジンだが、静かに羽ばたき盟友の華奢な肩に乗る。
「テンジン。私を見つけたの?」
友好的な合図のつもりなのか、テンジンはくちばしで盟友のコートの後ろの紐をついばんでいた。
「探したぞ、こんな所で何をしていたんだ」
「うん、ちょっとね」
盟友はテンジンを後ろ手で触りながら、力なく微笑む。目元が腫れて赤くなっているのを私は見逃さなかったが、ここで口にしてはいけない気がした。
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