ベッド カーテンの隙間からは微かな光が差し込み、隣で眠る恋人の肌を青白く照らす。顔に落ちる睫毛の影は長く、薄らと開かれた唇は、寝る前にリョータによって塗りたくられたリップクリームによって艶やかに輝いていた。
静かな彼をこう観察すると、ころころと変わる人懐こい表情がひとつないだけで、高尚な一枚の絵画のように見えてくる。この腹が立つ程に整ったツラやコートに立つ雄姿を見て、頬を染めた人間は両手では収まらないだろう。
「…リョータ?」
「ごめん、起こしたか?」
「…んー?ねてない」
もぞもぞと肩までかけた布団ごとにじり寄ってくる沢北を、腕の中に迎え入れる。
暫くすると良いポジションを見つけたのか、満足したように、ふふと鼻から笑い、ぐりぐりとリョータの胸に額を擦り付けた。
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