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    520文字
    キョンシ院のタイカケ

    「ほら、カケル、タイガって呼んでみろ」
    「あいぁ……」
    「惜しいんだよなぁ……」
    「たぁ、い、あ」
    「ガが言えないのか? でも、唸ってる時ガって音出してるよなぁ?」
     貼りつけられている札が剥がれて、大暴れしている時のカケルを思い浮かべる。言葉にはなっていないけれど、いろんな音を発しているから、声に出せないわけではないのだろう。
    「やっぱ、ちゃんと自我が戻るまではダメなのか~」
    「あぁう、あ!」
     くしゃくしゃと頭を撫でると、カケルは嬉しそうに笑った。出会ったばかりの頃は笑顔になることも無かったけど、今はこうしていろんな表情を見せてくれる。ヒロさんも、俺と出会ってから急速にカケルは人間らしくなってきているらしい。
    「ま、ゆっくりでいいんだけどよ……」
     出来れば、最初に自分の名前を呼んで欲しい。なんて、贅沢な望みなんだろうか? カケルの道士であるヒロさんを差し置いて……。
    「たぁ?」
    「なんでもねぇ。さ、カズオ、日も沈んだし散歩行くか」
    「うぁ!」
     カケルはぴょんぴょん飛び跳ねてドアの方へと向かう。そのうち、歩き方も人間らしくなって、並んでゆっくり話ながら歩けるのかな。
     そんな日が来るのを想像すると、カケルの成長(と言っていいのかわからないけど)が楽しみになった。
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    オルト

    TRAININGパンそばのタイカケ。
    そばくんに対して過保護なパンくんが見たいです。
    「ねぇね、タイガくん」
    「あ?」
    「これからコウジさんたちと飲みに行くんだけど、タイガくんも来る?」
    「あぁっ?!」
     飲んでいたジュースを噴き出しそうになった。なんで、カケルが、あの探偵と?
    「ふ、二人で、飲みに行くのか?」
     まさか、俺が油断している間にあの探偵がカケルを? 俺らのファンとか言ってたけど、まさか、まさか……。
    「ううん、助手のユウくんやコウジさんのお友達も一緒みたい。タイガくんもどうかなって思ったんだけど……。もしタイガくんにその気がないなら僕一人で」
    「俺も行く!」
     カケルの言葉に被せるように、俺は大きな声を上げた。自分の好きなヤツが、いくら二人きりじゃないとはいえ、俺のいないところで他の男と飲むなんて耐えられない。それに、カケルは酒に弱いんだ。酔ってふにゃふにゃになってるカケルはめちゃくちゃ可愛いし、何かされちまうかも知れない。俺は酒を飲んでも、絶対に少しだけにしておくぞ。ちゃんとして、カケルのことを守るんだ……!
    「えへへ。タイガくんがいるなら安心だなぁ。僕、お酒弱いし、コウジさんのお友達は……僕らも会ったことあるみたいだけど、緊張しちゃうだろうから」
     安 1434