いつものようにカケルたちの住む家を訪ねてきたら、ちょうど玄関のところに籠を背負ったユウとカケル、それからヒロさんがいた。
「たぁ!」
真っ先に俺に気づいたカケルが、ピョンピョン勢い良く飛んできて俺に抱きついた。勢い余って後ろにコケた。
「たぁ、たぁ!」
「なんだよ、落ち着けって」
頭を撫でてやると、すごく嬉しそうな顔をした。めんこい。
ヒロさんはカケルを操り俺から引き剥がして言った。
「今からカケルが初めておつかいにいくんだよ」
「おつかい?! 町に? 流石に無理なんじゃ……」
喋れない、人間のように歩けない、硬直しているしたまに暴れてしまう。そんなカケルが人間たちの町になんて……。
「うん、流石に町は無理だから、ちょっと先まで木の実を取りにね。ユウをお守りにつけて。どう? タイガも一緒に行ってくれないかな?」
「俺も、っすか?」
カケルはヒロさんと俺の顔を交互に見ている。期待と不安が入り混じったような顔だ。
「カケルもその方が頑張れると思うし。ね、ユウ?」
「まぁ、そうだな! どーする?」
「い、行く!」
ユウだけにカケルを任せておつかいだなんて……。
カケルのことは、俺が守るんだ……!
俺の返事に歓喜したカケルは、ジタバタ身体を動かした。こんなに喜ばれるなんて、こっちが嬉しくなる。
「よし、行くぞ、カケル」
「ぁう!」
カケルの手を取って歩き出す。ユウが後ろから「俺がいるの忘れていちゃつき過ぎるなよー!」と言った。