夜のない世界で ひのき、という名前に意味があったのかは分からない。しかしひのきはいちばん最初に呼ばれて、その箱の中で目を開けたのだ。どんぐりのような瞳を持つひのきは、どうやらコルヌレプスという種のようだった。ひのきを呼ぶのが誰なのか、分かってはいない、いなけれどもどうにもひのきの言葉は通じていないようだった。何を喋っているのだろう、というそれの言葉は聞こえるのに、ひのきの言葉はそれには通じないのだ。身体の大きさが違うからかもしれない、でもそれだったらひのきが理解するのだって難しいだろうに。この、ホムとかいう装置のおかげだろうか、それの言うことはホムを通じてよく言葉になって聞こえてくる。この耳はよく聞こえるものであるので、そういうことが可能なのかもしれなかった。
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