💛💙ゆさ、ゆさと上下の振動を感じる。
それはとっても心地よくて、何故か幼い頃に親の腕に抱かれていた憧憬を想起させる。
確かさっきまでカウチで映画を観ていて――
「……ルカぁ?!」
「わあ、びっくりした!」
「な、何してんのこれ」
「何って?アイキーがソファで寝ちゃってたからベッドまで運んでるんだよ」
自分は仰向けで、ルカの胸元が近い。膝の下と背中にたくましい腕を感じ取れる。
――お姫様抱っこ、だ
ちょうど配信で「するならおんぶ、されるならお姫様だっこかな」なんて言ったばかりの身としては、あまりのフラグ回収の速さに文字通り天を仰いでいる。
「はは、顔が真っ赤だよ?」
「降ろしてよ……歩けるから」
「だーめ」
ルカは自分が優位だからとフフンと笑っている。そのまま顔を寄せたかと思ったら――
チュッという音が自分の額から聞こえた。あ、キスされた。しかもかなりわざとらしいやつを。
「ルーカー?」
「What's wrong with you, babe」
「あああもう!」
体勢的に、手で顔を覆うという典型的な逃げ方しかできない。
そういえば、鍛え抜かれたボディのおかげか、ルカの首に腕を回さなくても安定して運ばれているななんて変なところで感心してしまった。
ちらっと指の隙間からルカを見ると上機嫌で鼻歌を歌っている。
「今夜は一緒に寝よ!」と連れてこられた先はルカの部屋だった。してやられた。
ルカの行く先まで気が回っていなかった僕は、ベッドに降ろされるまで彼のお姫様のままであり続けた。