烏の濡れ羽色「Doppi~!髪乾かして~!」
風呂から出たばかりのRenが後ろからソファに座っていた俺に抱き着く。
さすがにタオルで拭いてあるものの、まだ髪はしっとりと濡れていた。
後ろから抱き着かれたことで、同じシャンプーのにおいが鼻孔をくすぐる。
同じにおいのはずなのに、いや同じにおいだからか、胸がときめく自分がいた。
「OK!こっち来て!」
俺はソファを軽くたたいて座るように促すと、
Renからドライヤーを受け取ってコンセントにさして、電源を入れる。
ドライヤーの温度を確認して、Renの頭に向ける。
「熱くないですか~」
「うん~ありがとう~!」
美容師の真似をしながら、Renに温度は大丈夫かこまめに聞く。
Renは間延びした声で答える。心地よさそうだ。
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