Someone special like you 初めは小さな違和感だった。気付かないふりが出来るほど、小さな小さな綿ぼこり。だから、そのまま気付かないふりをして、部屋の隅に「それ」を追いやった。私には今、必要のないものだから。
「はぁ………」
今夜何度目か分からないため息を吐く。枕元に置いたスマートフォンを手の感触だけで手繰り寄せ、電源を入れる。暗闇にぼんやりと浮かび上がる画面には、午前3時5分の文字があった。
(なんでこんなに眠れないんだろ)
今日だけではない。スハはもう、何日もうまく眠れていなかった。暗闇の中目を閉じると、頭の中で誰かが囁くのだ。しかも、何を言っているのかよく聞こうとしても、言葉は端から霧散するようで掴み取ることが出来ない。
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