若者は分かってくれない ドクターTETSUは闇医者である。その患者は政治家や極道、時には今を時めく銀幕のスターなど多岐にわたる。いずれも医者にかかっていることを知られなくない、弱みを知られたくない、そんな理由で大金を積んで闇医者にかかるのだ。
そういうわけで。
「……ED治療薬?」
そういうことを望む患者もいる。
ドクターTETSUは半ば呆れたような顔でベッドの上の小柄な老人を見た。
「ンむ。この年になると勃ちが悪くてな」
カカカ、と笑いながら毛布越しにポンと己の股間を叩いて見せるこの男はその気さくな言動に反して現役極道の組長である。15年間この患者を見ているドクターTETSUに言わせればヤクザ者というよりもクラブやキャバクラのオーナーという印象の方がよほど強く、実際かなりの色好みだった。抱いた数と同じくらい抱かれた、というのだから筋金入りだ。
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