Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    なくた

    お絵描きとSSを描いたりします。
    エアスケブにてリクエストお待ちしてます。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    なくた

    ☆quiet follow

    30日CPチャレンジ

    #kazuha
    #heizou

    ①手を繋ぐ初めての情事が終わり、お互い重たい体をくっつけて布団の中の心地良さを満喫していたところで、へくち、とくしゃみの音と共に赤い髪が揺れた。初めての行為のあとで、何やら照れくさくピロートークらしいことも出来ないまま黙っていたが、どちらともなく小さく笑い声が漏れた。万葉はなるべく布団の中に外気が入らないように気を使ってる布団の中の恋人に両腕を広げた。

    「寒いか?もっとこちらへよるでござる」
    「へへ…ありがとう。」

    言葉に甘えもっと密着しようと素肌どうしを重ねると、体温とはまた別の温かさがぽぽぽ、と生まれてきて心地が良い。平蔵は万葉の首を両腕で包むように抱きしめるとそれに答えるように万葉も腰に手を回す。少しぎこちない気がしたが何となく自分たちらしくてこのままで良いような気がした。

    「幸せだね…」
    「そうでござるな」

    ぽつりぽつりと短い会話を続けていたが冷え込みの厳しい季節、布団にくるまってるとはいえ全裸ではやはり寒いらしく、またお互いに身を寄せ合う。

    「風呂に行こう、風邪をひくでござるよ」
    「うわ、寒っ…うん。」

    布団の中をまさぐり脱ぎ散らかした自身の羽織を掴むと万葉は平蔵の肩にそれをかけ、半ば強引に布団を剥がす。生ぬるくまったりとした空気に浸っていた平蔵は急な冷気に体を固くするが万葉の羽織を着せられたことが少し嬉しくて直ぐに頷いた。
    風呂場までの短い廊下を互いの体のだるさを考えゆっくりと進む。少しだけ先をいく万葉は早く風呂場へと行きたそうだったが、繋いだ手は急かすことなくじんわりと暖かな体温を平蔵に与えた。

    脱衣所に着くとただ羽織っただけの羽織を脱ぎ、事前に沸かしていた湯船に二人で浸かる。体の奥から温まる感覚にほうっと息を吐き出すと平蔵は湯船の中で万葉の手を握った。

    「どうしたでござるか?」
    「いや、さっき手を繋いでくれたのが嬉しかったんだ。暖かくて心地よくて…。寒かったけど、寒くなかった。」

    ただ繋いだだけの手を感触を確かめるようにもにもにと揉んだり、形を確かめるように指を滑らせたりと手遊びをする。柔らかく触られるのはなんだか恥ずかしいようなむず痒いような感じだったが万葉は小さく笑って平蔵の好きにさせた。

    「…昔、旅先で聞いた話なのだが、手を繋いだ所を拡大すると互いの手の粒子が混ざりあって境目が無くなるのだという。手を繋ぐということは、すきな者と細胞で交わりあっているから、心地よい。といった話を聞いたことがあるでござる。」

    ふと思い出した話を語りながら遊ばれていた手を平蔵の指に絡ませると所謂恋人繋ぎをして引き寄せる。されるがままに体が触れ合うと平蔵は額を万葉の肩に寄せた。赤い髪から伝う水滴が冷たかったが気にせずに腰を緩く抱きとめた。

    「じゃあ今、僕と君はひとつになってると言う事?」
    「そうでござるな。混ざりあってひとつの生き物になっているだろう」
    「ふぅん…」

    伏せていた顔を上げると恋人繋ぎしたままの手を平蔵が湯から持ち上げる。水面から出た途端重力を感じて手が離れそうになった為、慌ててぎゅうと繋ぎ直すと肉眼では交わっている自覚など分からない互いの手をまじまじと見つめた。大きさの似通った手はぱっと見れば違いがないが万葉の方が幾分ゴツイような気がする。

    「悪くない気持ちだよ。…二人の時はまた僕と手を繋いでくれるかい?」
    「もちろん、その時は手の装飾も外そう。」

    軽い口約束を交わすと持ち上げた万葉の手の甲に唇を落とし、にかりとわらってみせる。つられて万葉も笑い、今度は互いの唇を合わせるとまた互いにぽつりぽつりと話し始める。

    二人の夜はもう少し続きそうだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💴💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works