寝起きの話。 整った横顔に朝日を受けてぼんやりと輪郭を光らせているのは、俺の美しい恋人だった。邪魔になるんじゃないかと心配になるほど長い睫毛が、開ききっていない瞳をキラキラと彩っている。
きりりと意志の強さを表す眉に、普段は冴えた光を湛えている切れ長の目、手入れの行き届いた髭。いつもはぴしりと整えられる前髪は、いまはまだ気だるげに額に垂れている。
鋭さや苛烈さを思わせるパーツを持ち、頭の回転が速く知識もたくさん蓄えている、俺の頼れる兄貴。そんな完璧なひとなのに、寝起きの彼はなんだかふわふわと浮ついた雰囲気で、かわいい。
「……ん、アクタル……?」
普段は引き結ばれた薄い唇がゆるみ、名を呼ばれる。
昨夜酷使したであろう喉から出る、ひどく掠れた甘い声。よく通る澄んだ声を持つ兄貴は、身体を重ねた翌朝は劣情を煽られる、とてもマズイ声を出す。
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