双子の過ごし方月曜日
「フロイド、起きてください。朝ですよ」
「ん〜後5分…」
ジェイドは早めに起き、着替えを済ませると片割れであるフロイドを起こしに掛かる。
「全く…遅刻しますよ。ほら、早く洗面所に行ってください」
「ぁ〜何するんだよジェイドォ…」
ジェイドはフロイドの被っていた掛け布団を剥ぎ取るとフロイドはパンツのみの姿でぶるりと身体を震わせた。ジェイドは手を叩きフロイドの腕を掴み立たせ歩かせる。
フロイドを洗面所に押し入れるとジェイドはフロイドのベッドを軽く整えフロイドのクローゼットから制服を取り出す。
「ジェイド〜終わった、おはよ!」
漸く目が覚めたフロイドはぺたぺたと足音を立てながらジェイドに抱き着く。ジェイドはくすくすと笑いながらフロイドを抱きしめ返す。
「はいはい、おはようございます。制服を着てください。僕お腹ぺこぺこです」
「あはっ、いつもジェイドお腹空いてるよね」
「燃費が悪いだけです」
ジェイドが用意してくれた制服をフロイドは着崩して着るとジェイドの手を取る。
「んじゃ、アズールの部屋に行こっか」
「ええ」
そうして2人は自室から出ていく。
数時間後、ラウンジの締めも終わった2人は部屋へと戻ってきた。
「あ〜疲れたっ」
フロイドは寮服のままベッドにダイブし、そんなフロイドをジェイドは寮服を脱ぎながら軽く窘める。
「フロイド、皺になってしまいますよ」
「ジェイドが脱がせて」
フロイドはベッドに座るとジェイドに向かって腕を伸ばす。
「おやおや、今日のフロイドは甘えたですね」
「そういう気分なの〜」
ジェイドは苦笑しながらもフロイドの寮服を脱がせハンガーに掛けるとクローゼットに仕舞う。
「さて、何方からシャワーを浴びますか?」
「ジェイドからでいいよ」
フロイドはまたベッドに横たわり雑誌を既に寛ぐ体制になっていた。ジェイドはわかりました。とだけ言うとタオルとパンツだけを持って洗面所の横にある風呂場へと向かった。
ジェイドが風呂場から出てくると今度はフロイドがタオルとパンツを持って風呂場へを入っていくと、ジェイドは作りかけのテラリウムに手を加えていく。
そしてフロイドが上がったら2人共すぐ様ベッドに入る。
ラウンジの出勤日は風呂に入るとすぐに寝るのが日常だった。
「おやすみジェイド」
「ええ、おやすみなさいフロイド」
パチリ、と部屋の電気が消えた。
火曜日
月曜と同じ朝を迎え、朝食を食べ終えた2人は並んで廊下を歩いていく。
「ねぇジェイド、オレって今日シフト入ってたっけ?」
「いいえ、貴方は入っていませんよ」
自分のシフトすら覚えていないフロイドの代わりにジェイドは2人分のシフトを覚えている。
ジェイドがフロイドにそう伝えると今日は部活に行ってくる〜またねジェイド!といい教室へと入っていった。
ジェイドはフロイドに手を振りながら自分達のシフトを思い出す。
(今日はフロイドが休みで明日は2人出勤、木曜は僕達は休み、そして金曜は僕が休み…でしたね)
「明日…一応準備しておきますか」
ジェイドはボソリと呟くと自身も教室へと向かっていった。
ジェイドが部屋に帰ってきた時には既にフロイドは戻ってきており風呂も済ませている様だった。
「ジェイドおかえり〜」
「ただいま戻りました」
ジェイドは1つ溜息を吐くと寮服をクローゼットへと片していく。
「なになに、ジェイド何かあったの?」
「ええ、ご迷惑なお客様がいらっしゃいましてその方の対応をしてました」
ジェイドはそれだけ言い、またタオルとパンツを手に取り風呂場へと向かう。
風呂から出たジェイドは首を傾げた。
「フロイド?何故僕のベッドに座っているんですか?」
「あはっ、お疲れのジェイドの為にフロイドマッサージ店の出張サービス♡」
フロイドは笑うとジェイドをうつ伏せに寝かせ肩から脹脛にかけてマッサージをしていく。
「ジェイド気持ちいい?」
「はい…何処で学んだのですか?」
「バスケ部の先輩が筋肉が固まらない様にって教えてくれてさ〜案外気持ちよかったから自分でも調べてみた!」
フロイドは爛々と喋りながらジェイドの身体を解していく。
「はい終わり!ジェイドどう…って寝ちゃってる」
フロイドが満足のいくまでマッサージをし終わった頃にはジェイドは既に夢の中へと旅立っており、フロイドはジェイドの頬に口付けると自身のベッドへと戻り寝る体勢を取る
「おやすみジェイド」
パチリ、と部屋の電気が消えた。
水曜日
今日も時間ギリギリにフロイドの身支度を済ませ、朝食を食べ終わり別れる前に、またフロイドはジェイドに今日は出勤日か聞いた。
「ええ、今日は僕もフロイドも出勤ですよ」
「げぇ…」
「ですがその代わり」
ジェイドはそっとフロイドに耳打ちする。
”明日は2人共お休みですよ”
その言葉にフロイドはバッとジェイドの方を向くがジェイドは手を軽く振りながら既に歩き出していた。
「今日が楽しみになっちゃった♡」
浮かれながら教室に入ってくるフロイドにクラスメイトは怯えながら授業を受けていた。
そしてフロイドはラウンジでいつもより俊敏に動き、締めの作業も普段の30分前に終わらせる。
「おやおや、普段からこうでしたら嬉しいのですが」
「面倒だからやだぁ。ってか早く部屋に戻ろ!」
ジェイドが態とらしくやれやれと頭を振るとフロイドはぷくりと頬を膨らませるが、今日早く終わらせた理由を思い出しジェイドの腕を掴み早足で自室へと向かっていく。
部屋に入るや否やフロイドはジェイドの唇を貪る。
「んんっ」
「っはぁ、ジェイド」
フロイドが唇を離した頃にはジェイドの腰は砕けへにゃりとその場に座り込んでしまっていた。
「あー、大丈夫?ジェイド」
「…っ、ええ」
ぼんやりしていたジェイドだったがフロイドに声を掛けられ意識を戻す。
「先にお風呂頂きますよ」
ジェイドはそれだけを言うと普段なら丁寧に片す寮服を皺がつかない程度に乱雑に片付け風呂場へと向かっていく。
そんなジェイドを獲物を見る目で見つめながらフロイドも寮服を片した。
普段より少し長めの時間で風呂場から出てきたジェイドの横をフロイドが通り過ぎる時、フロイドはジェイドの耳元で囁いた。
「今日優しくは出来ないから」
「っ、はい…」
フロイドの言葉にこくりと頷きながら頬を赤らめるジェイドを見てニンマリと笑ったフロイドは駆け足で風呂を済ませると裸のまま自身のベッドにジェイドを押し倒す。
「骨の髄まで食べてあげる♡」
「ええ、沢山味わってくださいね?」
そのまま2人はシーツの海へと沈んでいった。
木曜日
今日早く起きたのはフロイドだった。
「ジェイド〜起きれる?」
フロイドは横にいる未だ寝息を立てているジェイドを揺さぶる。
「ん”ん”…今日は貴方が僕の代わりに出てください」
ジェイドは少し目を開くと枯れた声でフロイドを睨む。
「はぁい、ちゃんと出ればいいんでしょ?」
フロイドは着崩していた制服をキッチリと着ると黒い片房の髪を反対に持っていき魔法で目の色を変える。
「んーっ、ん”っん”…では行ってきますね」
最後にフロイドは声色を変えるとジェイドが普段浮かべている笑みをしながら部屋から出ていく。
ジェイドはフロイドがちゃんと部屋から出た事を確認すると二度寝をする為に目を閉じた。
次にジェイドが目覚めたのはお昼時だった。
グゥっとお腹が鳴っている。自室に置いてある食べ物でも食べようかと思っていると部屋の扉が開いた。
「あ、ジェイドやっぱり起きてる」
「おはようございますフロイド。先程起きたばかりですよ」
ジェイドが朝よりかはマシになった声でそう言うとフロイドは持っていたトレーをジェイドの膝の上に置く。
「お腹空いたでしょ?お休みの”フロイド”の為にご飯持ってきたの」
オレってえらーい!
ニコニコしながら言うフロイドにジェイドは少し吹き出しながらもフロイドの頭を撫でる。
「ありがとうございます。フロイド」
そうしてご飯を食べ終えるとフロイドはまたトレーを持って部屋から出ていく。
ジェイドはフロイドを見送るとゆっくりと身体を動かし始めた。
そしてフロイドが帰ってきた頃には色んな液体で濡れていたフロイドのベッドは片されており片割れのジェイドは自身のベッドに座り山関連の雑誌を呼んでいた。
「おかえりなさいフロイド」
「ただいまジェイド〜」
フロイドはジェイドに抱きつくと色んな箇所に口付ける。
そのこそばゆさにクスクスとジェイドは笑いながらもフロイドの肩を叩く。
「ほら、明日はラウンジのシフトが2人共入っているのですから早めに寝ましょう?」
「げっ…サボっちゃダメ?」
「ダメです」
ジェイドがキッパリというとフロイドはとぼとぼと風呂場へ向かい、身体を清めると髪の毛から水滴を垂らしながら部屋へと戻ってくる。
「そんなに濡らして…風邪を引いてしまいますよ」
「風邪引いたら休めるじゃん…」
未だに拗ねているフロイドにジェイドは先程思いついた事を口にする。
「今週フロイドは良い子だったので土日の休みの日、今回はフロイドの行きたい場所に着いていきます。だから明日まで頑張ってください」
ジェイドの言葉にフロイドの目がキラキラと輝いた。
「っほんと!?なら頑張る〜!」
おやすみ!とフロイドはいうとベッドに潜り込みすぐ様寝息を立て始めた。そんなフロイドにジェイドはそっと微笑むと自身も眠る体制に入る。
パチリ、と部屋の電気が消えた。
金曜日
楽しみでしょうがなかったのかフロイドがジェイドの起きる時間より早く起きいつもと違いフロイドがジェイドの着替えの準備をしていた。
ジェイドが何時もの時間に目覚めると片割れが自分のベッドで肘を着いてじっと此方を見つめていた。
「おやおや、おはようございますフロイド。今日は早起きなんですね」
「おはよージェイド。だって今日頑張ったら2日間ジェイドオレと一緒にいるんでしょ!」
フロイドの笑顔にジェイドは釣られて微笑む。
「そんなに喜んでいただけるとは思ってもみませんでした」
「だってジェイドいつも休みの日は山に行ってるんだもん」
それより早く早く!フロイドはジェイドの腕を掴むと洗面所へとジェイドを向かわせ、ジェイドはいつもと真逆なのもこれはこれで楽しいと思いながらも苦笑した。
そしてラウンジの締めも終わり自室に帰るとフロイドは1冊の雑誌をもってジェイドに詰め寄る。
「明日はジェイドとずっと部屋で過ごして明後日は欲しい靴があるから外に出掛けよ!」
フロイドの言葉にジェイドは一瞬顔が引き攣った。
「…明日は部屋で過ごすんですか?」
「うん、ジェイドが泣いても気絶してもずっと愛してあげるから覚悟して♡」
フロイドの言葉に快感が背筋を走る。フロイドがずっと愛すると言ったのなら自分が気絶しても快楽で起こされ、泣き喚いても止めてくれないだろう。
腹の奥が熱を求めてじくじく疼くのを感じながら身支度を済ませベッドへと潜る。
「おやすみなさいフロイド」
「うん、おやすみジェイド」
ジェイドは起きたらすぐフロイドに喰われるのを想像しながら目を閉じる。
パチリ、と部屋の電気が消えた。
土曜日
2人は部屋から1度も出てこなかった。
日曜日
腰に鈍痛を覚えながらのど飴を舐めつつジェイドはフロイドに手を引かれ外へと連れ出されていた。
まだフロイドのが腹の中にある様な気がする。ジェイドは頭を振りその考えを消す。
今考えてしまうとまた発情してしまうと思ったからだ。
幸いマスクを着けている為、他の人間にどんな顔をしているかわからないだろうがフロイドは匂いでわかってしまうだろう。
そしてお目当ての靴を買うとブラブラと少し街を散策し、夕方には部屋へと帰ってきた。
「…ねえジェイド」
「どうしました、フロイド」
街で発情してたよね。
フロイドの言葉にジェイドは固まり、そんなジェイドを見たフロイドはニンマリと笑う。
「あはっ、やっぱりだ。甘い匂いがしたからジェイドの方見たら目が惚けてたもん」
「っ、忘れてください!」
「だぁめ。それになんでオレが早く帰ってきたかわからねぇの?」
「…っ」
フロイドの言葉にジェイドは目を丸くした。確かに普段街へ出掛ける時は門限ギリギリまで散策しているのに今日は早い。
ジェイドは後退りしながらフロイドから距離を取ろうとする。
「む、無理です。昨日あんなにしたじゃないですか」
「ジェイドが発情したのが悪くね?」
責任取ってね?
フロイドの言葉が聞こえると同時にジェイドの視界はフロイドの顔と天井になっていた。
そしてがぱりと大きく口を開けているフロイドにジェイドは無意識に自身も口を開けた事に気付いてはいなかった。
これが、双子のある時の週の過ごし方だった。