数千年ぶりにハグをするエルダ~ズ 波紋のように肌がさざめていた。互いにそれほど皮膚を露出させてはいないが、触れ合う箇所から布越しにも体温と肉の感触が伝わる。ざわざわと吸い寄せられる感覚がある。生存競争の理から外れた生命体の本能が、同族の気配にひたすら歓喜しているようだった。いっそ同一の個体になりたがろうとしているのかもしれない。つまるところ、脳機能が管理する意識の及ばない核部分は、どうしたって孤独を嫌悪している。単体であれば分裂してでも複数になろうとする。無機が有機となる現象の根幹。そこだけは他の生命達と自分達の根本的な道理は変わらない。不条理なものだ。しかし同時に、酷く腑に落ちる。体内の髄を駆け巡る喜悦が証明だった。
「よろこんでる……、私の中身が」
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