【クラエベ】誰かを愛するということについて(仮)とある日の昼下がり クライデの家
「なあ、クライデ。」
「なんですか?」
「人を愛するとは、一体どういうことだと思う?」
「急にどうしたんですか?」
クライデはチェロの手入れをしていた手を止めてこちらを見る。
「……いや、特段深い意味があるというわけではないのだが……。ツェルニーも言っていただろう。『世辞を言われ慣れている。』と。たしかに私には誰かから愛されたという記憶がないんだ。両親は私を愛してくれたかもしれないが、まだ幼かった私はそれを覚えていない。……分からないんだ、それがどういうものなのか。今の私には、理解できない。」
「…………。」
クライデは私の隣に腰を下ろすと、私の手を取り言った。
「そうですね……、あなたの問いに答えるのはとても難しいです。ですが僕はこう思います。人を愛することとは、その人の全てを受け入れ、心を満たすことだと。」
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