リーマン現代パロのジェパサン(夏風邪)不意に、キーボードを叩く指が止まる。何か物足りなさを感じ、ジェパードはモニターから目を離した。夏、昼下がりのオフィスは多くの社員が働いている。
資料作りや電話対応。隣に座るペラは、会社のウェブサイトをリデザインしている最中だ。
いつも通りの平日。見慣れた光景。その中で、何かが足りないとジェパードは思う。
「先輩、集中力が切れたなら先にお昼をどうぞ。わたくしの方は、もう少しかかりますから」
ペラの声に、意識を引き戻される。視線を彼女に移せば、至って真顔でジェパードのことを見つめていた。
「……わたくしの顔に、何か?」
「いや……なんでもない。そうしたら、先に昼を食べてくるよ」
首を横に振り、ジェパードは立ち上がった。社証と財布を持っていることを確認して、オフィスの外へ出る。
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