勝手に十日間チャレンジ:六日目(しょばろ)目立つ事を嫌う彼女は写真を撮られるのもあまり好きではない。
でもある晩秋にマフラーを共に買った時『巻くから、撮ってよ』と素っ気なくスマホを渡して来た。後で写真を送って欲しいと言うと意外にも素直に頷いてくれた。
やや恥ずかしそうに口元までマフラーに顔を埋めた上目遣いなカメラ目線は、可愛らしい。
『お洒落なんて分からない君が、一生懸命選んでくれたから』
写真を撮ってくれなんて珍しいと言及すると、彼女はもじもじと顔を背けながらそう口にしていた。
このデータはずっとメモリに焼き付け続ける。
(おわり)
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