この酒場に寄り付くのは、行きどころを失った者。もしくは自分のようなアウトロー気取りだろうと、サンポは思う。上層部に位置していながら、この酒場は寂れている。ここで酒を飲んでいる人間も、人生に対して陰を歩いている者達ばかりだった。中にはシルバーメインの兵士もちらほらといる。無論、兵服ではなく私服を着ているが。
壁際にバーテンダーとカウンター、丸いテーブル三つも並べれば、狭い室内。誰かが話しているその声は、否が応でも耳に入るものだ。安酒を一口含みながら、カウンターに座ったサンポはその声に耳を傾けている。下層部の浮浪者たちをかき集め、碌でもない計画を立てている〝らしい〟男の言葉に。
「下層部はバカばっかりだ。知ってるか?使った包帯を洗って、使い回しているらしい。どうにも、生きている人間は大事だから資材は大事にしたいんだとよ」
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