Wake Upっ
痛いッいたい痛いイタイッ
イヤダッやだっヤメテッ
いたくて辛くて
涙があふれてとまらない
ぼく今どうなってる?
あつくてさむくて
もうなんもわかんない
かえりたいよ
だれかたすけて
「アウリス、アウリス! 起きて、目を開けて僕を見るんだ」
隣の部屋から叫び声が聞こえたので急いで入ると、アウリスがベッドの上でのたうち回っている。近寄ると怪我をしているようには見えない。恐らく夢を見ているのだろう。何を見ているかは定かじゃ無いが、良い夢では無いことだけは分かる。叫んでる内容を聞いて思わず前世の事を思い浮かべた。アウリスは覚えて無かったはず。まさかとは思うが、本当に前世を夢に見てしまっているのだろうか。
「うぅぁ、いたいよお、さむいよお」
うっすらと目が開いた。だけどまだ虚で、夢と現実の判断がついてないようだ。僕の事を誰かと勘違いしてるようで、とても弱い力で押しのけようとしてくる。
「ぁぅ、ぃやだ、もうやめて、もう逃げないから、どこも行かないから、何でもするから」
アウリスは丸まり身体を抱きしめ震え始めた。
「アウリス、大丈夫だよ。何もしないから目を覚まして」
ちらりと、乱れた髪の隙間から目が合った。
「ぁ、れ。きりえ、くん?」
僕だと分かったのか、ぶわっとアウリスの瞳から涙がこぼれ落ちていく。がばりと強く抱きしめられ、肩越しに嗚咽が耳へと届いた。頭や背中をぽんぽんとなぐさめていれば消え入りそうな小さな声で、ありがとう、と聞こえて来た。落ち着いたのか疲れたのか、そのまま夢へと再び旅立ってしまった。どうか悪夢を見ませんように。
でもこれは、ほんの始まりに過ぎなかった。アウリスの悪夢はこれで終わりじゃ無かったんだ。前世なんて思い出しても良いことなんて彼には無いのに、彼を救えなかった僕に何が出来るのだろうか。