公(ハム) @4su_iburigakko 主に4スレ無断転載禁止(Don't re-upload) ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji POIPOI 13
公(ハム)PAST長く短い祭り 見慣れた黒くて寂しい宇宙も、強く輝く太陽も、どこか遠くて。ただ、離れないようにしっかりと掴んだ彼の手首と、静かに、けれど柔らかいライムグリーンの瞳だけが全てだった。 「エランさん」 「……スレッタ・マーキュリー」 お互いに名前を呼び合う。 続く言葉はない。 言葉がなくても、私たちの瞳は饒舌だった。 ——このままふたり、どこまでも漂っていたい。 交わる視線と、お互いさえいれば、どこまでも行けそうだ。 今まで求めても得られなかった、温かいご飯でもお気に入りのコミックでも埋められなかった心の奥底にある空洞が、熱く優しいもので満たされていく。熱はじわりと広がり、喉、瞼、指先と、身体の隅々まで温めていく。 「……好きです」 3146 公(ハム)PASTほまちあめ ——さあさあ。 ——さあさあ。 自室を包むような広く小さな音に、隣に座るスレッタも気が付いたらしく、絡んでいた視線をついと窓へと向け、感嘆の声をあげる。 「雨ですよ、エランさん!」 晴れやかな笑顔で振り返った彼女に、こくりと頷いておいた。 ——本日は午後5時から雨の散布予定。 数ヶ月前から予告されていた通り、天井パネルからは人工雨が降り注いでいる。いつもならばオレンジ色に切り替わっている映像も、暗いグレーがまだらに映し出されていた。 多くの住民が疎ましく感じる雨の散布日も、スレッタにとってはそうではないらしい。ブルーグレーの瞳を輝かせながら、腰掛けているベッドのすぐそばにある窓から外を眺めている。さらには時折目と口をぴたりと閉じて、雨粒の音を聴いているようだった。 2168 公(ハム)DONE拙作本「僕ときみのトートロジィ」後日談。時系列は拙作本編終了後すぐ。ちょっとだけ前向きになった4くんと何も分からないスち。いつか言祝ぐ、その時は温かい西日に包まれながら、まだ雨で湿った道を歩く。二人とも市電に乗れるような格好ではないので、仕方なく本郷の住宅地から歩いて子爵邸へ向かっているのだが、エランはむしろいつもより長くこうしてスレッタと歩けることを嬉しく思う。 「ふん、ふ〜ん、ふふっ」 きっとスレッタも自分と同じ気持ちだろう。少し調子の外れた鼻歌を歌いながらエランの隣を歩くその足取りはふわふわと軽やかだ。 「そういえば、あの包みの中身は何だったの?」 あの包みとは、エランがスレッタを勘違いするきっかけとなった、ゴドイが持ってきた包みだ。誕生日の祝いの品として寄越したそれは、そこそこの大きさがあった。 当時は裏切られた気持ちで荒れ狂っていた胸中の所為で分からなかったが、今思うと着物か帯か、それらに類するものではないかと推察する。 1113 公(ハム)MAIKING拙作「僕ときみのトートロジィ」の後日談。書きかけなので途中で終わってます。絶賛迷走中。でも妄想は止まらない。夏草涼し 薄墨色の重苦しい雲ばかりが空に居座っていた日々がようやく終わりを告げ、代わって今は刺すような日差しが降り注ぐようになった。皆が単衣から薄物の着物へと衣替えをし始めた頃、エランは気になっていたことをスレッタに訊ねた。 「あの帯、使わないの?」 あの帯、とはゴドイがスレッタの母からという名目で誕生日の祝いの品として寄越したものだった。当初それは、エランがスレッタを避けるきっかけとなってしまったが、スレッタの猛追——正しく猛追だった——でエランの誤解も解けた。その後二人で確認した品は、百合や杜若、鉄線を乗せた花筏に流水紋が涼やかな夏草尽くしの帯だった。夏の初めから盛夏までの時期に使い勝手の良さそうな品だったのだが、エランはスレッタが締めているところを一度も目にしていなかった。現に今も、普段から締めている無地の帯だった。 1099 公(ハム)DONETwitter再掲。エラスレワンドロライ様よりお題「デート前日」をお借りしました。デート前日 エアリアルのコクピット内でスレッタは隅々に目を光らせていた。お菓子の食べカスは落ちていないか。埃は、髪の毛は……。シートやコンソールの下部には、わざわざ身体を屈ませてまで確認している。スレッタは女性にしては長身の部類なので、たまに頭や肘をぶつけては「いてっ!」と声を上げながらも、検分を続けていた。 やがて、ようやく気が済んだのか、縮めていた身体を起こして、シートへ座る。 「んん〜……、これで大丈夫だよね」 スレッタは検分を終えてもなお不安が拭えないようで、大丈夫だよね、と言ったそばから、視線が右へ左へと忙しなく行き来している。 それもそのはず、明日はエアリアルのコクピット内で映画鑑賞会が控えているのだ。――しかも、エランを招いて。 1417 公(ハム)DONETwitter再掲。「新しい枕」に出てきたマグカップのお話です。貧者の一灯 エランはペイル社の特別更衣室で首元のジャボを結びながら、寮の門限とレールの運行ダイヤを頭の中で確認していた。いつもは身体調整の後、自室に戻って鬱屈とした時間を消費しているのだが、今日は珍しく外出の予定を組んでいた。行き先は、学園の生徒が休日によく利用する商業地区。衣食住をペイル社に全て管理されている関係であまり利用したことがない上に、目的のものが短時間で見つかる保証もないので、今日の調整が想定時間内に終わったのは幸いだった、とエランは密かに安堵していた。 ◇◇◇ 直通のレールを利用してたどり着いた商業地区はうんざりするほど人で溢れかえっていた。商店が集中していて、なおかつ休日となれば利用者が増えるのもやむを得ないのだが、静寂を好むエランにとって、好ましい状況ではなかった。 4809 公(ハム)DONETwitter再掲エラスレワンドロライ様よりお題「枕」をお借りしました新しい枕 初めてエランの部屋を訪問した時、とても彼らしい部屋だとスレッタは思った。備え付けのものらしいベッドとデスク、収納コンテナくらいしかなくて、とても綺麗に片付いているけれど同時に少し寂しい部屋は、この部屋の主人をそっくり体現したかのような空間だった。 スレッタが3回目に訪れた時、お茶を淹れたカップが真っ白くてシンプルなものから、小さなあかい苺のイラスト付きのものに変わった。エランの大きな手が持っていると、ちょっと似合っていないのに胸がきゅんきゅんして「かわいいデザインですね」と呟いた。安心したように息を吐いたエランに首を傾げたけれど、どうぞと言って手渡されたカップに視線が移ってしまい、彼のため息の理由を聞くタイミングはなくなってしまった。 1528 公(ハム)DONETwitter再掲。エラスレワンドロライ様よりお題「天体観測」をお借りしました。ペーパームーン 大半の人が寝静まった時刻、エランは端末を持って自室を出た。照明が絞られた薄暗い廊下を進み、望みの景色が見える窓の前で立ち止まる。端末のディスプレイからある人物の名前をタップして耳に当てると、数秒もしないうちに声が聞こえてきた。 『ぁ、こっ、こん、ばんは』 「こんばんは」 普段とは違う密やかな声に、擽ったくて肩が震えてしまい、どうしてか羞恥心が湧き上がってきた。吐息すら拾う端末の優秀な収音性にかすかな苛立ちを覚えながら、エランは昼間の記憶を思い起こしていた。 ――月を見たことがないんです。 スレッタ・マーキュリーが水星からやって来たことはこの学園のほとんどの者が知っている。だが、水星の住環境を詳しく知っている者はあまりいないだろう。かく言うエラン自身も、彼女の言葉を聞くまで、はっきりと意識したことはなかった。 1613 公(ハム)DONETwitter再掲。エラスレワンドロライ様よりお題「温泉」をお借りしました。温泉「エランさん、これ!見てください!」 僕の部屋に約束の時間通りにやってきたスレッタは挨拶もそこそこに切り出した。 前のめりになりながら彼女が取り出したものは資料閲覧用の端末。ここの生徒なら誰でも持っている、珍しいものではないそれを僕に手渡した。横からスレッタの指が伸びてきて画面を操作する。表示されたのは写真――低木に囲まれた水溜り……ではなく熱湯? 「……これは?」 「温泉です!」 温泉。 確か、地熱で温められた地下水などを指す言葉だ。他にも温度や溶解成分なども温泉の定義に関わってくる。らしい。詳しくは知らない。 「えっと、地球寮のみなさんと温泉の話になったんですけど……」 部屋に入るや否や立ったまま話し始めてしまった彼女の手を引き、ベッドに座らせる。僕がすぐ隣に座っても特に気にした様子はなかった。いつもなら必ず何かしらの反応を見せるが、彼女の声は途切れることなく続いていく。よっぽど話したいことらしい。 2386 公(ハム)DONETwitter再掲お疲れ気味な4くん鴉は鳴か無い「スレッタ!エランさんが来てるよ」 「うえっ!?」 ――この日は、会社に呼ばれてるから。 スレッタがエランとお互いのスケジュールを確認している時、確かにそう聞いたはずだった。少し残念に思ったことも、分かりましたと返事をしたことも覚えている。だと言うのに―― 「急に来てごめん。……、近くに用事があったから」 「い、いえ……」 ニカに見送られながら急いでスレッタが向かうと、いつも通りの涼やかな視線を湛えたエランが地球寮の入り口でぽつんと立っていた。 立ったままにするのも忍びなく、寮に招こうかと考えて、他のメンバーらがあまり良い顔をしないかな、とうだうだ考えているうちに当の来客の方から「向こうにベンチがあるんだけど」と提案されたのでスレッタはエランについて行くことにした。 1463 公(ハム)SPUR ME4スでスキンケアの話。久しくポイピクを使っていなかったので投稿。*現パロ*付き合ってる*途中で終わってる似たような話は前にも書いたけど、私はこの味が好きなんだ…スキンケア(仮)「お風呂、ありがとうございました」 エランは読んでいた本から声がする方へと視線を向けた。そこには風呂上がりで全体的にしっとりとしたスレッタの姿があった。 今日は週末の夜。休みの前日の夜は、恋人らしく、どちらかの自宅で過ごすことが恒例となっていた。本日はエランが自宅にスレッタを招き入れた。 普段はふわふわとしているスレッタの赤毛は、水気を吸ってぺたりとしていて、心なしか色味も深いように見える。その姿をエランはじっと見つめていた。 スレッタの濡れたままの赤毛を見る機会は案外少ない。彼女の自宅では、ドライヤーもスキンケアも脱衣所で済ませているらしく、この姿を見ることができるのは、エランの自宅に泊まったときのみだった。だからこそ、エランはいつも興味深く見つめてしまうのだった。 632 公(ハム)DONE #4ス初夜考察素敵な企画に便乗させていただきました。※本番はありませんが、直接的なワードがあるためR18としています。 1343 公(ハム)MAIKINGポイピクテストえろ導入だけの4スです。途中で終わってます。 755 1