ワンライお題:イエスノー枕「このままじゃ、まずい……のに」
何がまずいって、俺という存在が。俺が居ることによって、一二三にとって悪影響を及ぼしていると言っても過言ではない。
事の始まりは数ヶ月前。
俺と一二三は両思いになった。お互いがお互いに長年の片想いをしていたと発覚した時は、二人でヒーヒー言うまで大笑いしてしまった。付き合いたてのカップルっぽくなかったが、今となっては良き思い出だ。
しかし、そこから先が問題だった。
俺の体は一二三に片想いしていた年月分だけ自己開発されている。そんな中で意中の相手とそういうことができる状態になったら?
────もう、ズッブズブだ。完全に深みへとハマっている。あまりにも一二三の部屋に向かう回数が多すぎて、「俺ってこういう欲が強いのか」と、自己認識を改めたほどだった。その被害を一手に引き受けているのは、もちろん恋人の一二三である。彼が俺の部屋に来ることはないから、今の頻度は過分だと思っているのだろう。それなのに、疲れて寝ている時ですら、ベッドに忍び込んできた俺に気付くと相手をしてくれる。最近では一二三の体力を慮って俺が上に乗るようにしているが、睡眠を阻害されるという意味ではあまり状況は改善していないと思う。
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