いつもの崖とカブトムシ友一はいつものようにあの崖へ登ったら犬王が倒れていた。いつもの気配が弱っていて周りにいる動物たちが悲しそうに鳴いていた。
友一は慌てて手探りで犬王へ駆け寄り掴んで揺する。
「どうした!?大丈夫か!どうしたら!」
オロオロする友一の手を力なく掴む犬王が。
「だ、大丈夫だ…聞きすぎて…」
掠れた声。
「え?」
「いっぱい…平家の話を…頭の中が…爆発した…だけだ……ちょっ待って…確かに全部聞くと言ったが…待ってくれ……」
犬王は平家の霊を聞いていたのだが千以上も居て、そのうえに出来事の順番がバラバラなため頭が整理しきれなくなったのだ。
「……ハッハッハ」
「おい…」
平家の霊がせわしなく飛び回り犬王に話を聞かせようと押し合いしていた。
574