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    さくとみチラシ裏を読む前に書いた処女作です。
    ラインハルトくんの重い話&完全妄想三次創作なので、閲覧の際はお気を付けください。
    ②はもう少ししたら出ると思います。

    職員ラインハルト①管理人の指示により、あるアブノーマリティーの作業に向かった。
    収容室の前に着いたら、自分のIDカードを端末にあて、扉が開いたら中に入る。
    こうすることで、誰が何に対し、何の作業をしたのかが、ログに記録される。
    職員ラインハルトは、管理人の指示により「ラ・ルナ」に演奏作業を行いにきた。
    収容室に入ると、すぐそこにおいてあるピアノの椅子に腰を掛け、目をつむり深く深呼吸した後に、「月光のソナタ」を弾き始めた。



    職員ラインハルトはこの「Lobotomy Corporation」では数少ない「巣」出身であった。
    巣の中の一つのDブロックにあり、その中でもトップクラスに有名な名家で生まれた。」ラインハルトの入社までの人生というのは、決して順風満帆ではなかった。
    この家に長男として生まれたラインハルトは、幼少期から「翼」に入るために英才教育を受けていた。
    その結果、幼少期から大学院まで、成績は常にトップ。芸術センスもあれば運動も文句なくできるまさに「天才」になっていた。
    ラインハルトの家は曾祖父、祖父、父と三代で翼に入社するという輝かしい経歴のある家であり、父もまたラインハルトに翼に入ってほしいと思っていた。
    しかし、党のラインハルトは翼に入るのではなく、ピアノを弾いていたかった。
    最初のうちは父も強固には反対しなかった。
    しかし、ある出来事を境に父は変わってしまった。
    ある出来事。それは、


              ラインハルトの母が死んだことだった。


    死因は病気だった。八方に手を尽くしても、救うことができず父は三日三晩泣き
    崩れていた。
    しかし、四日目から父は大きく変わった。
    「ラインハルトを翼に入れることが、妻の願いだった。」
    と言い始め、ラインハルトに対しさらなる教育をさせ始めた。
    しかし、妻の本当の願いとしては、
    「ラインハルトのの好きなように生かしてあげたい。」だった。
    当然、父もそれを知っていてあまり強固に反対はしなかった。
    だが、愛すべき妻を故、父は狂ってしまった。
    見かけや普段の感じからは考えられないものの、ラインハルトに対しては。自分の願いと妻の願いが混ざり合ってしまう程にくるっていた。
    こんな仕打ちを受けて、当然ラインハルトも抵抗した。
    「父上、私は翼には入りたくありません。もっとピアノを弾いていたいのです。」
    星の数ほど言ったこの言葉も、父には届かず、
    「黙れ貴様は我が家の経歴に泥を塗る気か」
    そう言って聞かなかった。
    そんな生活の中でも、ラインハルトが気丈に耐えて入れたのはピアノが弾けること
    だった。
    曲の中でも「月光のソナタ」が特にお気に入りで、弾くのが日課と化していた。
    しかし、いつまでもピアノを弾ているラインハルトに痺れを切らした父は、ついにそのピアノを破壊した。
    心の支えであったピアノを壊されたラインハルトは、もうこの家に未練などなくなっていた。
    だが、気がかりがあった。
    それはラインハルトの妹の事だった。
    今、妹はラインハルトの様に父から迫害のような扱いを受けておらず、穏やかに暮らしている。
    しかし、いつか父の矛先が妹に向けられることを危惧していた。
    父の矛先が向かないようにはどうすればいいのか、それを考え続けた結果、その答えとなったのは...



                  父を消すことだった。


    本来なら、ラインハルトにこんな恐ろしい発想ができるはずがなかった。
    しかし、度重なる迫害と心の支えを失ったことから、すでに正常な考えなど思い浮かぶはずがなかった。
    頭のいいラインハルトにとって、自分の痕跡を残さず父を始末することは容易だった。
    しかし、真の問題は妹をどうするかだった。
    そもそも妹の行く末を考えての決心だった故、ラインハルトの計画を決行する為には、
    妹の預け先が必要であった。
    その預け先を思いつけず、ただ悪戯に月日だけが経っていった。


    その計画は思いもよらぬことで実現しようとしていた。
    真の問題であった妹のメドがついたのだった。
    それは、一通の手紙がきっかけだった。
    大学院の卒業が近づいた時、ラインハルトには翼各社からの手紙が相次いで来ていた。
    それは、翼の中で「L」の頭文字を持つ、
    「Lobotomy Corporation」からの手紙だった。
    最初はこの手紙も見る気はなかった。
    しかし、手紙の裏に書かれていた、
    「MAKE THE FEAR,BUILD THE FUTURE」
    恐怖に直面し、未来を創る。
    この言葉に惹かれたラインハルトは、徐に手紙を開いていた。
    仕事内容、給料、休暇、福利厚生など...
    様々な項目の中に真っ先に目を付けたのは、福利厚生だった。
    食い入るように見てみると、一つ気になるものを見つけた。
    「わが社で一定期間以上職務を全うした職員に対し、その家族に「巣」に住むための
    権利を与える。
    これを見つけたとき、ラインハルトの脳内で自分の計画の流れが完成した。
    最後の問題であった妹の事。この会社でしっかり働けば、また一緒に暮らせる日が来るかもしれない。
    これは、暗闇の中の一筋の光に違いなかった。
    入社の意向を示す手紙をL社に郵送した後に、ラインハルトは妹を自分の部屋に
    呼んだ。
    「急なお呼び出しですが、何かありました」
    部屋に入ってきた妹が言った。
    大きく深呼吸して、言った。
    「私は、この家を...私の代で絶やしたいと思います。」
    ラインハルトは、本当はこんなこと言いたくなかった。
    しかし、もうほかに道はなかった。
    「この家を絶やすというと...」
    そこまで言ったとき、聡明な妹は驚愕の顔をした。
    「...父上を殺されるのですか...」
    あたりを憚る声で言った。
    「...ええ。」
    ラインハルトは口の中が苦くなるのを感じながら言った。
    「なぜ、そんな事を...」
    「父上はもう狂ってしまわれました。母上の死によって。」
    「...あの迫害のような扱いが原因ですか」
    「いや、私だけにあのような扱いをするのなら私は耐えられます。ですが、私が翼に入社しこの家を出るとなると、その矛先は...」
    一息にここまで話し、意を決して言おうとしたとき、
    「私に向けられる、ということですね...」
    賢い妹は、ラインハルトの言わんとすることが分かったようだ。
    「...悲しいですが、そうなってしまうと思います。なので、そんな結末にならないためにも、私は...父上を殺さらなければいけません。」
    はっきりいって、今回の計画欠航において一番の障壁となるのはこの「妹の説得」だと思っていた。
    もちろん、反対の意見を出してくる。そう思っていると...
    「...わかりました。兄上がそう言うのでしたら、私は何をしたらよいですか」
    「...本当にいいのですね」
    「はい、私は兄上の様に我慢強くありません。父上にあのような扱いをされたら、
    毎日を生きていける気がしません。だから、兄上を信じます。」
    これで、ラインハルトの覚悟は決まった。
    自分の愛する妹を愛するために。
    「...わかりました。ならまず、あなたを預け先に送り届ける必要があります。」
    「どこに預けられるのですか」
    気丈な妹も、さすがに不安があるようだ。
    「心配ありません。私が最も信頼している友人のお宅に預けさせていただきます。」
    それを聞いても、妹は流石につらいのを隠しきれていなかった。
    「大丈夫です。今度私が入社する会社では、一定期間以上働けばまた一緒に住めるようになるかもしれませんので。」
    それを聞いて、少し安心したようだった。
    それから様々な手筈を話した。
    計画、といってもシンプルなもので、妹を預けた後は家に戻り、父に入社が決まった
    ことを伝える。
    それを聞いて無警戒になった父を刺殺し、家に火をつけラインハルトもL社に向かう。
    幸いにも、妹を預ける家はこの近辺から離れているので火事に巻き込まれる
    ことはない。
    計画を理解した妹は、荷造りをするために自分の部屋に戻った。
    部屋に一人きりになったラインハルトは、自分の部屋を見回した。
    長年住んできたこの部屋とも、もうお別れであった。
    ラインハルト自体、もうL社に必要な荷物を送ってあるので、部屋に物はほとんど
    なかったが、それでも多くの思い出が詰まったこの部屋と二度と会えないというのは
    流石につらかった。


    計画決行の日になった。
    午前中までいつも通りに過ごし、午後から妹を預け先に届けた。そして、家に戻った。
    父の部屋の前につき、扉をコン、コン、と激しく鼓動する心臓を抑えながら二回ノックする。
    「入れ。」
    そう言われて扉を開けて入る。
    「ご報告にあがりました、父上。」
    眉をひそめながらこちらに向かってきた。
    「私、ラインハルトは本日をもちまして、Lobotomy Corporation」への入社が決まりました。」
    一瞬ポカンとした父だったが、すぐに笑顔になって、
    「そうか、やっと私の気持ちを分かってくれたのか。」
    そう言って、上機嫌そうに近寄ってきた。
    「見事翼に入社するとは...流石我が息子だ。」
    そう言って肩をたたいた。
    その瞬間、ラインハルトは目にも止まらぬ速さで、懐に隠し持っていたナイフで父の
    急所を突いた。
    返り血が付くよりも速く、ナイフを抜きそのまま家を出る。
    父は即死だった。
    そのまま足を止めずに家の中央に位置する広間に灯油を撒き、火をつけた。
    ラインハルトは家と共にも得ていく思い出を少し見た後、L社に向かって歩き出した。
    そして、二度と家を振り返ることはなかった。
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