青色の恋煩い困ったことになった。
視界の端をちらちらと舞う青い光に内心でため息をつく。
ホンルは数日前からこの青い光……青い燐光を放つ妖精に付き纏われていた。
妖精の可愛らしい外見と物珍しさに最初こそ喜んだものの、この妖精がどうやらホンルの片目だけにしか興味がないらしいと気づいてからはそう楽しめるものではなくなった。
同じように青く輝くこの瞳を同族だと勘違いしているのか、妖精はホンルの瞳に親しげに近づいては話しかける。だがホンルがそれに反応を返すと、予想外のことに戸惑ったように、あるいは怯えたかのように慌てて逃げてしまう。
そうしてしばらくするとまた、ホンルの目元へ近寄ってくるのだ。
今日もまた妖精はホンルの前髪を無遠慮に掻き分け、同じ色の青い瞳に寄り添って何か熱心に話しかけている。
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