ブラ晶♂短編「最近、しけたツラしてやがんな。ずっと」
晶が中庭で賢者の書を読んでいると、頭上から、不思議に鋭さと甘さを併せ持つ、低い声が聞こえてきた。
「ブラッドリー。こんにちは、また飛ばされちゃってましたか」
声の持ち主は、元盗賊団のボスで囚人の賢者の魔法使いだ。晶は、彼の肩に担がれた肉の塊を不服な旅の土産物だろうと判断し、そう尋ねた。ブラッドリーは晶の問いには答えず、しかし思わぬ収穫には満足してるのか世間話を続けるつもりはあるようで、魔法で肩のそれをどこかへやると、ドカっとベンチの空いている方に腰を落とした。
「で?理由は」
「そんな、情けない顔してました?最近立て続けにいろんなことがあったから、少し疲れてるのかな、あはは」
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