明ける年の瞬間にさくりさくりと雪の積もった道を歩く。ニューイヤーが近いのもあってか、ロスサントスの街中に人は少ない。この街にはジャパンから来た人が多く住んでいて、ジャパンではニューイヤーを迎える時は家で過ごす人が多いのだと誰かが言っていたのを聞いた。いつも一緒にいる救急隊のみんなも、今日ぐらいは家族や恋人、大切な人と過ごしているんだろう。
一瞬強い風が吹いて雪が吹き上げられた。あまりに強い勢いだったからぎゅうって目をつぶって腕で顔を守って冷たい風を遮った。プルプルと顔を振って、パーカーについた雪を払う。さっきまでと変わらない風景なはずなのに、街の中の家から漏れる明かりが、周囲を走力するライトが、なんだかとても幸せそうに見えて自分はその中に入れないような気がして、おなかの奥がきゅうとなって泣き出したくなる。
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