街の人の談笑が響く麗らかな午後の時間、リオセスリはヌヴィレットに呼ばれてパレ・メルモニアにある執務室を訪れていた。長椅子に座り、ヌヴィレットの用意してくれたお菓子と紅茶を頂きながら軽く世間話を交わした後本題に入る。
「それで、俺に相談事って?」
「ああ、その事なのだが折り入って頼がある。私と恋人になってくれないか」
リオセスリは紅茶を吹き出しそうになりながら、動揺のあまりいつもより雑にソーサーにティーカップを置く。
「何か事情でもあるのか」
予想だにしなかった事態に柄にもなく取り乱したが、瞬時によく回る優秀な頭で冷静に考え結論を出した結果ヌヴィレットに何かしらの厄介事が舞い込んだのだろうという結論に至った。
1686