友達の部屋 十一月に入ったのに、今日は夏日だったから、暑かった。
朝メシ食べて、シャワー浴びて、パンいちでふらふらと寝室へ行って、なにか着ようと思ってたんやけど、急にめんどくさくなって、ぽすり、とベッドに横たわった。
陽平は、いなかった。
陽平は、台所にいた。
多分、朝メシの片づけをしたら、ベランダで煙草を喫う。
午前中にやらないといけないことを片付けて、午後から夜にかけて外出する予定だった。
来週、アメリカに、戻る。
この部屋にあるもろもろのものとか、引き上げたほうがええんやろけど、自分でも思わないうちに(もしくは、無意識に思ううちに)大量の私物があって。
家主である、陽平は頓着してないけど、きっとあいつの生活には必要のないものばかりで、でも嫌な顔をひとつしない。
(いや「嫌な顔」を、俺がさせへんだけか……)
パンいちで布団にもぐる。
さらさらとした布の感触が、シャワーを浴びたばかりの肌に気持ちが良い。
たまたま、陽平の枕のあるとこに横たわったから、その枕を引き寄せて、顔をうずめる。陽平の、匂い。
長いつきあいやったけど、寝室の匂いまではさすがに知らずにいた。
(こんな匂いやったんやな……)
と、あらためて年下の男の匂いを、胸の奥まで迎え入れる。
変な遊びにつきあわせてしまった。でも、陽平は、それを受け入れた。
俺の身体は、すこし変わってしまった。陽平の手で、変えられてしまっていた。
アメリカに戻ったら、俺はいつもどおりのバリタチで、もう二度と男に抱かれないかも知れない。推しのために身体を張って、大概のことは書けるような気がしているけれど。
腹を、さする。
昨夜した、リセットの名残があるようで、身体の奥がぽってりと熱かった。
静かにドアが開けられて、陽平の気配がした。
俺が思った通り、セッタの匂いを漂わせている。
陽平の枕に顔を埋めているのが、妙に気恥ずかしくて、俺は振り向かなかった。
ベッドの端に座る、気配。髪に触れる、指の気配。
振り向くと、顔まで覆っていた布団が捲られて、キスをされた。
それから、更に布団が捲られて、上裸が空気に晒される。
陽平の唇が、右の乳首に、あわくあてられる。
それから、左の乳首に。
そのあと、首筋の匂いを嗅がれて、それからもう一度、キスをされた。